家族会議〜旦那が宝くじで3億円当たったから仕事辞めてきた〜
茄子の皮
家族会議〜旦那が宝くじで3億円当たったから仕事辞めてきた〜
日本国、宮城県の県庁所在地仙台から車で2時間、大きなスーパーはあるが、そこまで都会でもない、地元民が暮らしやすい田舎町。
2月26日 7時40分
「いってらっしゃい」と笑顔で家の玄関から、専業主婦の高橋美津子(54)は旦那と長男を会社へ送り出す。2人は和人が運転する車で会社へ向かう。
家族4人、旦那高橋秀人(55)、長女高橋早希(25)、長男高橋和人(22)で、木造2階建の車が4台止まるほどの庭がある家で暮らしている。
「早希今日は何時に帰ってくるの?」
「うーん。7時くらい?」
「晩御飯の時、話が有るから寄り道しないで帰って来なさいよ」
「え?何!病気?」と早希は不安になる。
「いーや。良いことだから。仕事に行ってらっしゃい。」
「うん、行ってきます。」と車で会社へ向かう。
「さて。天気も良いし、洗濯でもしちゃいましょ!」と美津子はのんびりと家事をこなす。
☆
「おはようございます」とスーツを着た男性達が挨拶をする。
「おはよう」 「おはようございます」と秀人と和人は挨拶する。
轟製菓 宮城支部商品開発部長 高橋秀人。これが秀人の役職だ。18歳で株式会社轟製菓に入社し、37年で築き上げてきたのだ。和人も18歳で入社し、秀人の部下として、働いている。
「部長!今日で退職ですか!」と佐々木勇気(36)が話掛けてくる。
「勇気。長い間ありがとうな。まだ夏期商品の開発中だが頑張ってくれ。」
「本当にそうですよ!部長のお陰で俺達の給料アップしたんですから!」と言うと周りの男達も頷く。
「そうだな、部長になった時。もう10年も前か、本社の社長に必要な職員をつけて良いと言われて、このメンバーが揃ったもんな。」と懐かしく思う。初期メンバーも出世して各係長まで出世している。
「まだ10年くらい働いても、部長なら活躍出来るでしょうに。轟製菓にとっての損失になりますよ。」と伊藤剛(43)は言ってくる。
「そうだな。まぁ、もう良い機会だし、妻とのんびり余生を過ごすさ。和人も入社したから頑張ってもらえ。」
「なら次の部長は和人君ですか?」と剛は冗談ぽく言う。
「いやいや、僕なんてまだまだ新人なんですから。お父さんみたいな仕事は無理ですよ。」
「だよね。これからに期待ですね。」と唯一の女性部下近藤雪(27)は話かける。
「それにしても次の部長は誰でしょうね?」と雪は聞いている。
「誰か昇格するか。他の部署から上につくか、変な人じゃなきゃ良いけどね。」と部下達は話している。
「部長内線です」
「はい、商品開発の高橋です。」
「秀人君。支部長室にいるから一人で来てくれ」
「はい、直ぐに向かいます。」
「部下どうしたんですか?」
「本部の社長に呼び出しだ。」
「え!東京から来てるの!」と部下達は驚いている。
「ちょっと行ってくる。商品のパッケージについて営業部の人と店頭販売に向いたパッケージを考えてくれ」と言い残し秀人は、支部長室へ向かう。
コンコン
「入ってくれ」
「失礼します。」
中に入ると轟製菓社長 轟悟社長(59)と宮城支部長 森健次(49)が対面のソファーに座っている。支部長は額に汗を流し緊張した面持ちだ。
「お久しぶりです。轟社長。5年ぶりですか。」
「硬っ苦しいことは無しだ。秀人君。悟さんで良いぞ。」
「それでは、悟さん久しぶりです。元気でしたか?」
「おお、勿論だ!秀人君のお陰でここ10年以上病気も無いぞ!」
「「んふふふふ」」と2人は笑い出す。支部長だけが状況が分からず汗をハンカチで拭いている。
「しかし!この先病気になってしまいそうだよ。分かるかな秀人君?」
「いいえ、全く分かりませんね。悟さんなら余裕でしょう?」
「いや最高の戦友が離れて仕舞うのだからな。この穴はなかなか埋まらよ。」
「それは、それは森支部長の出番ですな!ね?森支部長」
「いやいや、高橋さん止めてください。」森は秀人の元部下で、心配性だが決めたら一直線に上を目指す男なのだ。
「そうだぞ森支部長。その穴を埋めるのがこの、宮城支部のこの先大きな問題になってくるのだぞ?」と轟社長はからかう。
「はい、頑張っていきます。」
「でもな、後釜誰か良い人居ないのか?秀人君の息子はどうだ?」
「いや、まだ22歳の若輩者です。経験が足り無いですよ。」と秀人は断る。
「でも秀人君は、その頃からセンスが有ったがね。」
「昔と今では規模が違いますよ。」
「でも変な人を上に付けても君の部下達は、仕事のレベルが高く、我の強い職員ばかり集めたからねぇ〜。普通の会社、いや普通の上司の人じゃ毎日トラブルになって仕事にならなかったのを、君が係長の頃から集めて行っただろ?」
「そうですよ!高橋さんがいなかったら、こんな私なんてストレスで直ぐに辞めていますよ!こんな会社!」と森は熱を込めて話している。
森が入社当日の上司がパワハラ当たり前の、他人仕事の成果を奪って成り上がった人間で、秀人が社長に言ってその不当な扱いの部下全てを部下に付けて助けていたのだ。
秀人に助けられた人は多く、出張で他県の支部に行き、同じような事が沢山あったのだ。
「そんな会社で悪かったね。森支部長。当日はとにかく多くの職員を雇って、規模拡大を目標にしてたから、長い期間働いてくれて職員には、申し訳ないことをしたな。」と轟社長は思い出しながら話す。
「いえ、高橋さんがいてくれたお陰で今の生活があると思えば、安い犠牲です。高橋さんみたいな人に会えるか、会えないかによって人生が変わりますから。」
「そうだな。秀人君に関わった人は、もれなくプラスになっているからな。悪い事を考えていた奴はもれなく職を失って行ったが。」
「いえ、当たり前の事をしただけですよ。」
「当たり前か。その当たり前がなくなってしまうのか。和人君の仕事ぶりはどうなんだ?」
「ええ、仕事もだんだん教えたことは、出来る様になってます。商品はチャンスや流れに乗れるか?なので、チャンスがくれば掴む事が出来るでしょう。」
「なら和人君に期待するかな。秀人君の息子だから大丈夫だろ。」
「ええ、これからも和人をよろしくお願いします。」と秀人は頭を下げる。
「それで、何で急に退職するんだ?」
2ヶ月前に退職を伝えている。
「そろそろ妻とのんびり過ごそうと思いまして。悟さんのお陰で貯金も余裕が出来ましたから。」
「そうか。轟製菓の定番商品を5つ以上も開発したからな。そうだ奥さんは元気か?」
「ええ、元気ですよ」
「そうか。なら大丈夫そうだな。残りの人生を楽しんでくれ!たまに酒でも飲みにいこうな!」
「はい。喜んで付き合います。」
「では、今までありがとうな。秀人君。退職金は期待してくれ。」と立ち上がり出口へ歩き出す。秀人と森も立ちあがる。
「はい。長い間ありがとうございました。」
「やっぱり考え直さないか?」
「いいえ、決めたで」
「じゃあな!」と出て行った。東京の本社へと帰るのだろう。
「ありがとうございました」と秀人か言い、二人は頭を下げて見送る。
「それじゃ森君、戻るから。今までありがとうね。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。寂しくなります。」
「頑張ってくれよ!森支部長!」と秀人は森の背中を軽く叩く。
「はい。頑張ります。ありがとうございました。」と森は頭を下げる。
秀人は商品開発部へと戻っていく。
部署に戻ると部下達は、仕事のため慌ただしく動いている。秀人も自分の仕事を終わらせる。
午後5時。
「部長今までありがとうございました!」と部下達に花束を渡されていた。
「ああ、ありがとう。次の部長は誰か分からないが頑張ってくれよ!」
「はい!」と部下達は涙を浮かべている。
秀人の部下は全員秀人が選んだ人材で構成されている。
部下全員と会話をし、秀人と和人は帰宅する。
☆
午後7時30分
「それで話って何なの?」と早希は晩御飯のカレーライスを食べながら聞いている。
「ああ、父さん今日で退職しただろ?」
「うん、お金貯まったから辞めたと思ってるよ」
「実は、宝くじが当たったんだ」
「え!」「嘘!!」と早希と和人は驚く。
「だから余裕が出来たから、仕事辞めたんだ。」
「え!いくら当たったの?1億円くらい?」と食事の手を止め早希は聞いている。
「ああ、3億円だ」とカレーを食べながら秀人は答えている。
美津子はカレーをもくもくと食べている。変わらず美味しい出来だ。らっきょうでも乗せようかなどと考え食事をしている。
「いやいや!お父さんもお母さんもどうしてそんな冷静なの?」と早希はだんだん大きな声になっていく。
「早希。声を下げなさい。詳しく話すから。」
何気なく通勤中、和人がネットバンクで宝くじが買えること秀人に話をしていた。
「いやいや、なかなか当たるもんじゃないだろ?」って笑っていたけど、折角聞いたから秀人と美津子2人で数字を考えて10口買ってみたら当たっていたのだ。
それが11月の事だ。
的中確定すると1週間もしないで3億円がネットバンクに振り込まれた。
秀人は宝くじについて調べると、当選金には、税金がかからないで、全額獲得出来るとしる。
「生活費を計算して、生活出来るから仕事を辞めたんだ。」
「そんな話もしたなぁ。まさか買うとは思わなかったけど。しかも当たっているとは。」と和人は驚いている。
「それで、早希と和人に5000万円づつ渡すから、この的中金分配用紙に名前を書いてくれ」この紙に書いている人は、当選金に税金がかからないで、全額獲得出来るのだ。
「まずご飯食べてしまおう。」
「いや先に書いても」と早希は言うが秀人が「母さんが困るだろ?早く食べなさい」と言い食事を再開する。
4人の名前が書かれた紙を秀人はしまう。
「これからどうするの?」と早希は秀人に聞いている。
「そうだな。懐かしい場所でも行って見るか?母さん?」
「そうですね。あなたと一緒に出張で行った所なんて良いですね。」
「えー!お母さん!早希も行きたい!」
「あなたは仕事があるでしょ?まだ若いんだから頑張りなさい。」
「そうだ!このお金を株式投資しよう!」早希は株式投資をしていて手堅く稼いでいるのを家族は知っている。
「早希のお金だからどうでもいいけど、引き際を知りなさいよ。」
「わかってるって!和人も私に乗る?」
「いや貯金するからいい」
「ふふふ、どこ行きましょうね?秀人さん?」
「まず沖縄から順番に回って行こうか。」
「楽しみですね。」
と何気ない会話が続いていく。
月日は流れ。
3月4日
時刻午前7時。
「それじゃ行ってくるから」
「「行ってらっしゃい」」と早希と和人は両親を見送る。
早希と和人の2人は家に入り、リビングのソファーに座る。
「いいなぁ〜。仕事をしていなければ一緒に旅行に行けたのに!」と早希は手を上げ体を伸ばす。
「せっかくの2人きりの旅行なんだから、ゆっくりさせれば?」
「そうね5000万円有るから目標2億円だ!税金かかるからもっと大変だよ。」
「お父さん達何日も家をあけるから、家事どうしよう?」
「やって?」
「いやいや2人で協力しないとダメでしょ!結婚できないよ?」
「うるさい!和人だってお父さんと同じ仕事人間なんだから、結婚できるの?」と早希は馬鹿にしたように言う。
「お父さんと同じなら問題は、全く無いと思うけど?」
早希は考える。今までの生活を。今の私の生活を。
「うん!最高かよ!お父さんみたいな人と結婚する!いた!和人結婚しよう!」
「いや無理だよ。それに。いや何でも無い。」
「おい?何だ!彼女か!何人も彼女がいるのか!」
「いや何人もいないよ」
「彼女はいるのか!お姉ちゃんが見てあげよう!直ぐに連れて来なさいよ!」
「嫌な小姑になりそうだな。そろそろ会社の準備するから!」
「姉より先に結婚する弟はいないのだ!」
「どこのJさんだよ。そんな事言ってるから結婚出来ないんだろう。」
「待て!まだ話は、終わってない!」
と姉弟は仲良く過ごしている。
☆
夫婦2人旅。【目指せ47都道府県の名所を巡る旅】を計画して旅に出た。
「1年位のんびり過ごすか?美津子?」
「ふふふ、懐かしい呼び方ですね?秀人さん?」
二人は付き合っていた当日を思い出し、各地を回っていた。
観光名所、グルメ、温泉、自然風景、飛行機、列車、新幹線、ホテル、旅館様々な、名所を巡ってきた。
結婚した二人の地元宮城県をはなれ、出張でお菓子工場のある他県を転々としていた。
当日2人がお世話になった人も60歳前後の方で、久しぶりに旅行ついでに連絡をとり、食事をしていた。
「久しぶりです。◯◯さん」
「高橋さん久しぶりです。また一緒に仕事をしたいものですね。」
と行く先々で言われている。
元上司や元部下も年齢を重ねて、その土地では高い役職や社長をしている。当日から、轟社長が信頼しているメンバー達だ。
「旅行で地方を回るより、秀人さんの知り合いに会う方が嬉しいですね?」
「そうだな。懐かしいと同時に今でも親しくしてくれるのは、仕事をしてきて良かったと思うよ。」
「秀人さんの性格のお陰でしょうね。」
「そうなら良いな。美津子が居てくれたから仕事に力が入っているのかもな。」
「それは良かったです。これからもよろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。」
「ふふふ」「ははは」と2人はホテルの一室で朗らかに笑っている。
☆
10月14日 午前11時。
2人は宮城に帰って来ていた。
リビングに家族4人と女性1人が座っている。
「お父さんこちら仁美さん。」と和人が言う。
「初めまして。桜井仁美です。」と仁美(22)は挨拶をする。
「初めまして」と美津子は挨拶する。
「初めまして。もしかして桜井食品の?」と秀人は聞く。
「はい。父がお世話になっております。挨拶に行くと言ったら父も行く!秀人さんの家を知っているのか!って騒いでいましたよ。」仁美の父 桜井大悟は秀人の元部下で「お菓子だけでなく食品関係がやりたい!」と桜井食品を立ち上げた社長だ。
「そうか。仁美さんが小さい頃に会った以来か。大きくなったな。お父さんは元気そうだな。」
「はい元気ですね。和人さんが挨拶に家に来たときも直ぐに結婚式どこでやる?の相談から始めてましたので。」
「そうか。まだまだ和人も未熟だからよろしくお願いするよ。機会があればお父さんと食事でもどうだ?と言ってくれないか?」
「ええ、分かりました。」
早希は、変な人なら文句を言ってやる!と気合いを入れていたが、仁美は良い子過ぎて、文句のつけようが無かった。
「それじゃお昼でも食べようか」と出前で注目していたお寿司をテーブルに広げていく。
仁美さんは、話せば話すほど、良い印象で、美津子と早希も娘と妹の様に可愛がっている。
午後1時
楽しく食事を終え、仁美へ秀人は連絡先を大悟に教える様に、紙に書いて渡す。
「それでは、失礼しました」と仁美は帰っていく。和人は仁美を車に乗せ、家まで送っていく。
「早希は、結婚まだか?」
「え?聞こえない!」と早希は自分の部屋に戻っていく。
「美津子。結婚が全てではないが、早希は大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。秀人さんの娘ですよ?」
「なら大丈夫だな。美津子の娘だからな。」
2人は見つめ合い笑っている。
10月17日 時刻午前10時。
秀人の元に仁美の両親の桜井夫婦が訪ねてきた。
リビングのソファーに座る。
「秀人さん。お久しぶりです。この度は仁美が和人君と結婚することになり嬉しく思います。」と大悟が言いながら、大悟と妻 良子は頭を下げる。
「いやそんな畏まらないで良いから。息子、娘の親同士なんだから。仕事じゃなく、友達感覚で良いんだよ」
美津子はお茶とお菓子4人の前に置き、お茶を飲んでる。
「そうですか、変わらないですね。秀人さんは。」と大悟は、懐かしく思う。
「それで今日は何か用でもあるのか?」
「いえ轟製菓を退職したって聞きまして。スカウトは失礼なので、世間話でも」と大悟は話出す。
「美津子。良子さんと少し話でもどうだ?」
「分かりました。良子さんお土産があるので、良かったら見に行きましょう」と美津子は良子を連れて隣の部屋へ向かう。
「それで話ってなんだ?」
「はい。秀人さん昔の仲間達に会いに色んな都道府県に行きましたよね?」
「ああ、退職して、旅行ついでに懐かしい人達に会ってきた」
「その時にみんな退職した事を知り、轟社長に確認の電話が行ったみたいです。私は轟社長からきいてました。」
「それがどうしたんだ?」
「どうしたって、秀人さんほど欲しい人材はいませんよ!特に商品開発で定番商品を作るセンスだけでも欲しいのに、普通の上司では使いこなせない優秀な新人が秀人さんならついて行ってしまうのだから。」
「普通にしてたら大悟見たいに、慕ってくれただけだろ?」
「だけ!その当たり前で助けられた人が沢山いるんですよ!俺だってそう!轟社長よりも秀人さんが上司で助けられた人は沢山いるはずです。分かるでしょ」と大悟は熱く語りだす。
「だからと言ってずっと仕事をするのは無理だろ?美津子が大切なんだから。結婚した時に俺は誓っている。」
「わかってます。わかってますけど、俺が社長になって嫌ってほど分かりました。優秀な新人が無能や平凡の上司の部下になり、嫉妬や妬みに耐えきれず、桜井食品を辞めていく姿!昔の自分自身を見ている様になるんです!改善方法は、分かるんです!秀人さんみたいな上司が会社に、一人だけでもいるその安心感!それだけで優秀な新人は、秀人さんの近くによっていくのです!」
「知り合い全てのお願いです。たまに話相手になってください。お願いします。若い新人を助けてください。」
「伝えたい事は、わかった。言いたいことも分かる。でも今の生活も大切なのは、わかってくれていると思う。」
「その上で、今は働く気はない。厳しく言うぞ。」
「甘えてんじゃねぇぞ?今、桜井食品は桜井大悟が社長の会社だろ?お前がやりたい!って始めて、出来ないことを、何で俺が助けないと、いけないんだ?お前が部下を成長させないでトップになったからだろ?信頼出来る部下を今からでも良い。5人作れ。その5人が各部署のトップ並みに信頼される仕事ができ、教育者として育てろ!俺はそうやって30年以上働いてきた。せっかく良い目標があるんだから。そんな優しい悩みなんて普通持たないんだぞ?自身を持てよ。仮にも俺の元部下なら腑抜けたことだけは言うな。わかったか?」
「はい。ありがとうございます」大悟の目に熱い意思が見える。
「正直言うと、今は旅行している生活だから、あと北海道方面を見たら暇になると思うぞ」と笑顔で秀人は話す。
「それじゃ」
「余計な期待はしない方が良い。面白いと思ったことならやるから。なんかごめんな。」
「いえ。ありがとうございます。新な出発だと思ってまた始めます。」
「それじゃ4人でご飯でも行くか?時間大丈夫か?」
「今日は予定も無いんで、昼間っから酒を飲んでも大丈夫ですよ」
なら行くか。
4人は近くの寿司屋へ向かい食事をしてきた。
仕事の話はしないで、娘息子の将来について話合う。結婚式をするなら5月頃の温かくなったらが良い!と男達は酒を飲み、勝手に盛り上がる両親達だった。
10月20日
「それじゃ行ってくる」
「行ってらっしゃい。」と和人、仁美、早希の3人に見送られ、秀人と美津子は【北海道旅&東北の旅】へ向かう。
和人と仁美は籍を入れ夫婦となり、実家で一緒に住んでいる。早希はまだ未だに彼氏もいないようだ。悲しい。
「うるせぇよ!」
「どうした姉さん?」
「嫌、なんか失礼な事考えた奴がいた気がするから。」
「大丈夫ですか?」と仁美は心配そうに見てくる。
「大丈夫だって。それよりも」と和人と仁美は距離近く話をしている。
離れている早希は・・・。はい、ごめんなさい。
「それはそれでムカつく!」
☆
1月24日
東北を巡り、北海道を秀人と美津子は旅行していた。
旅館の部屋で浴衣でのんびり、お茶を飲んでいる。
「寒くなったので、温泉旅館で過ごすのが楽しいですね?秀人さん 」
「そうだな。雪が多いと、出歩くの危険だからのんびり過ごすのも悪くないな。」
「こんな生活どうですか?」
「そうだな、ずっと仕事ばかりだったから今は、楽しくが飽きて来そうだな。」
「桜井さんの話聞こえてましたよ?」
「本当か?まぁ、声が大きくなってたからな。」
「助けてあげないんですか?」
「出来ると思うか?」
「面白そうですけど?」
「嫌いじゃないからな。悟さんと少し話してみるか。」
「楽しみですね。」
「ああ、そうだな。」
【目指せ47都道府県の名所を巡る旅】達成。
2人は実家宮城県へと帰宅する。
☆
3月15日 午後7時
秀人は轟社長にアポをとり、一人で東京にある個室の焼き肉で待ち合わせした。
「よう!秀人君!久しぶり!」
「久しぶりです。悟さん。」二人は肉とお酒を注文し、食事をしながら会話をする。
「秀人君、昔の仲間に会ったそうだね。」
「はい、旅行ついでに懐かしい人達に会ってきました。」
「どうだった?」
「どうとは?」
「何か言われたか?」
「いいえ、全く。桜井食品の社長からは、言われましたが。」
「働く気になったのか?」
「いいえ」
「そうか」轟の顔は落ち込む。
「でも楽しむ事は決めました。」
「ん?何をするんだ?」
「自分と同じ用な人材を育てるために、違う印象の人に私と同じ理念を持って貰おうと思いまして会社を作りたいと思ってます。」
「社長になるのか?」
「はい」
「聞かせてくれ」
秀人は、桜井大悟に言われた、新人の状態を伝え、優秀な人材確保すると伝える。
「なら派遣会社なのか?」
「そうですね。どんな会社にも優秀だけど人間関係で辞めていく人は多くいます。私が旅行して会ってきた元上司、元部下達の悩みの種を全て回収します。」
「出来るのか?出来ます。今直属の部下を10人は直ぐに確保できます。」
「どんな人材だ?」
「基本全員優しい心を持っています。他人の為に力を使う事が好きな人です。あとお金が全員大好きです。自分の行動や発想に正当な評価が給料として貰うのが当たり前ですね。」
「見た目はいろいろ、真面目な人もいれば、怖い見た目の人も居ます。男性、女性。販売が得意な人。開発が得意な人。話すのが得意な人。動くのが得意などなどで、どんな分野でも対応できます。」この10人が部下を10人持っただけでさらに10倍更に増えれば10倍と増えていきます。
私の知り合いだど、大企業から小さな企業まで、あるので紹介も対応出来ます。
「どうですか?」
「おそらく実現出来るだろう。他の派遣会社を潰す勢いで成長するだろうな。」
「問題は後ろ盾です。」
「なるほど轟製菓の子会社で行くか?」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。むしろビジネスチャンスだ!」
「それでは、4月の新入研修までに合わせたいので4月までお願いします。」
「ああ、わかった」
「私は宮城県で働いていきます。他の社員が好きな所日飛ばしてください。」
「会社名はどうする?」
【職場環境改善隊】
「どうですか?」
「職場環境改善隊か。面白いから良いな。他の社員に聞かなくていいのか?」
「もう確認済みです。」
「面白い仲間が揃っているな。私も混ぜてくれよ。」
「あなたは轟製菓の社長をしてなさい。」
「4月までは、会社設立の問題ないさ。そうだ宮城に新人研修で人手不足の支部があった。頼めるか?」と轟は笑いながら話す。
「ええ、任せてください。必ずや120%の実力を発揮して見せましょう。」
「よろしく頼むよ。」と2人は食事をしている。
☆
3月29日
秀人は轟社長から会社 職場環境改善隊を任された。社長として職員研修は終わり、職員の行きたい職場へ向かってもらう。まだまだ人手不足だ。もっと育てなければ。
4月1日 午前8時
「行ってらっしゃい」美津子が笑顔でみている。
「行ってくるよ。」
秀人はスーツを着て職場へ向かう。
車を運転しいつもの道を走る。
懐かしい、新な職場。
秀人は、手慣れて職場へと入っていく。
轟製菓 宮城支部【商品開発部】
「今日からこの会社で働いてもらう職員研修の先生だ。挨拶を。」と森支部長が言う。
「株式会社 職場環境改善隊の社長 高橋秀人だ。今日から新人研修から職場の不満改善の仕事をしていく、よろしく!」
「部長!」と懐かしい面々が群がる。
新人達を置き去りにして。
終わり
家族会議〜旦那が宝くじで3億円当たったから仕事辞めてきた〜 茄子の皮 @nasunokawa
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