たぶん世界で一番かっこいい全裸

 すっぽんぽんの英雄がその知恵と勇気で村を救うお話。
 主人公が素敵です。常人にはない特殊な能力を持っているのはもとより、単純な身体能力や頭脳においても非常に優秀、なのにそれを鼻にかけることもまた奢ることもなく、とにかくただひたすら格好いい、格好いい男の、そのはずなのに……どうして……。
 いや実際別に何も悪くはないんですけど、でもどうしても笑ってしまうというか。全体を通じてものすごくシリアスなお話で、そのうえ主人公はただただ英雄としての仕事しかしてないのに、でも二話目がというか、二話目のそこだけが。いや本当、どうしてこの主人公はこんなにも頑ななのか、長老の苦悩や気遣いがはっきり手に取るようにわかってしまう、その感覚だけでもうおかしいのが本当にツボでした。
 と、この説明だとなんだかコメディ作品のようですが、でも実際はかなり大真面目な現代ファンタジーです。特殊な能力を駆使して絶体絶命の危機を救う男の物語。詳細についてはここでは述べませんが、きっちり組まれた設定というか、伏線の貼り方と回収の仕方が丁寧で好きです。いや本当に問題解決のギミックがものすごくしっかりしていて、だからこそ読み終えた今はなおのこと、二話目のそれが強く思い出されてしまうのですけれど。
 なんというか、一粒で二度おいしい感じ。どうせ全裸になるならこんな全裸がいいなと、そう思わせてくれる素敵な全裸でした。