学生が大学を受験する為にセンター試験を受けに行く話。なんですが、体感的に説明が8割です。
説明と言っても何故センター試験を受けに行くかだけではなく、センター試験を受けに行くまでの主人公の考えている物事全てに説明が入るという感じで、センター試験の為に勉強をしすぎて辞書片手に全部説明しようとしている様な状態でした。
途中で猫と会話するシーンがあるので、もしかしたら主人公も猫も人間ではない生物だから色々と説明しながら自分にそうだと言い聞かせているのだと思いましたが、最後まで読んでもその部分の説明はありませんでした。
説明だらけなんですが結構するする読めたので、ゲームの説明書や他人の日記を読むのが好きな人向けかもしれません(自分がそう)
センター試験一日目の朝、家で朝食を済ませ会場に向かういち受験生の、徒然とした独白。
独白、というよりは思考や心境をそのまま活写した文章といった方が近いかもしれませんが、まあなかなかに独特な味わいのお話です。
とにかくもう、話がくどい。普通なら説明の必要のないことを細々説明して、出てくる言葉の定義を逐一詳らかにしないことには先に進めない、なんだか科学哲学か何かの教科書のようね、と一瞬そう思いかけたもののちょっと違う。語の定義というほど厳密ではなく、どうも場当たり的というかなんだか恣意的というか、適当に目についたものから手当たり次第といった様子で、つまりこの主人公が一体〝何〟でどうしてこうなっているのか、結局判然としないという以前にもうそんなことどうでもよくなってくるような、なんとも不思議な感覚がありました。煙に巻かれる、というのとはちょっと違うというか、それを三回りくらい大きくした感じ。
おそらくはこの主人公、人のふりをしているだけの人ならざる何者かなのだと思うのですが。ただ個人的な趣味としてはヒトであって欲しいというか、認知機能の独特な人だったら素敵だなあと思いました。