おまけ・閉店後の喫茶店にて
「“
喫茶店のカウンターでキーボードを打つ手を止め、大きく背筋を伸ばしていると、二足歩行の白ウサギがコーヒーガムを差し出してきた。
私はそのコーヒーガムを受け取ると、包み紙をのけて口に放り込む。
唾液の出てこない口の中で、ひたすらガムを噛む。
「ずいぶん書いたんだねえ。でも、だいたいは常識のことばっかりだけど」
白ウサギの“マヴ”は私のノートパソコンをのぞいて、ハナをピクピクと動かしている。彼のお気に入りのタキシードは、相変わらずちょっとキツそうだ。
そう、1日かけて書き上げたこの文章は、この時代の常識を調べたものを殴り書いたものだった。これでも、世の中をあまり理解していなかった私にとっては、貴重な資料ではあるが。
「明日だっけ? ブログを始めるの」
正確には、明日からブログの取材を始めるのだ。そう言いたくても、私には声帯というものがないのでうなずくしかない。
ブログを書き始めた理由は非常に単純。世の中を理解するためだ。理解するにはさまざまな人と関わりをもつのが一番だと、用事で今日1日中帰ってこない店長が言っていた。
「ボク、すごくわくわくしているんだよねえ......だって......」
そういいながらマヴは私の肩に乗りかかって、耳元でささやいた。
「異座穂と一緒にお仕事ができるんだもん。ボク、ずっと異座穂が独り立ちするのが怖かったけど、ブロガーなら一緒にいられるよね」
私はマヴのおでこを撫でた。
自主企画参加 明魔元年デビルパンク(仮)質問解答集 オロボ46 @orobo46
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます