第13話 ダンジョンと百合は世界の神秘 予約が来月になってました。申し訳ないです。

「せいっ!」

 

 襲い掛かってきたモンスターを切り裂き、剣を鞘に仕舞う。

 次の瞬間には、モンスターはその身をドロップアイテムへと変えていた。

 

「ふぅ……。まぁ、流石に負けるわけにはいかないからね」

 

 今戦ったモンスターの数は7体。一人で戦うには少し数が多い。

 しかし、今俺が潜っているのはレベルⅢダンジョン。

 まぁ負けるはずがないよな。

 

「しかしまぁ、ドロップアイテムもしょぼいなぁ」

 

 ゴブリンを倒せば腰布という、燃やすことくらいにしか使えないゴミしかでないし、ウルフを倒しても牙しか落ちてくれない。

 

「もう少し深く潜ればいいのが出るけどソロで行くのはなぁ……」

 

 雑魚しか出ないとしても寝ている時に襲われでもしたら流石に負ける。

 今受けているクエストは採取だからそもそも深層に潜る必要はないけれど。

 それに、低ランクダンジョンで深層に行くなら高ランクダンジョンの上層に潜った方が簡単だし。

 すぐに戻れるし雑魚が相手なら高ランクダンジョンでも負けない。元々フラン達と組んでいた時も前衛は俺一人だったんだから突っ込みすぎたりしなければ負けることはない。

 

「よしっと! これで採取もおしまい! 後は……。帰るだけか。——うん?」

 

 採取した物とドロップアイテムを全てマジックポーチに仕舞い、帰ろうと立ち上がる。

 その直後、どこかから言い争うような声が聞こえてきた。

 

「うーん……。一応行ってみるか」

 

 何事も無ければ立ち去るでよし、ギルドのルールに違反している行動を取っていたのならば止めると良し。

 迷宮都市と言われるだけあってリューマンにいる冒険者の数は膨大。

 素行の悪い冒険者が一定数居ることも事実なのだ。

 

「ほらほらもっと逃げろよ! 上手く逃げないと、当たっちゃうぜ?」

「う、わあああああ! や、辞めてください!」

「ほれっ!」

「うぐっ……。いた、っ」


 明らかに問題行動。

 

「これは……」

 

 その光景に思わず絶句する。

 いかにも素行の悪そうな冒険者二人組が荷物を持った子供に向かって弓を射っていた。

 一人は剣士のようで、上手く矢が飛んでいないようだけどもう一人は明らかに弓術師。

 男が狙い通りに矢を飛ばし、既に子供の太もも辺りに矢が刺さっていた。

 

「あー、反応悪くなってきたしそろそろ良いか。じゃあな」

「辞めろ!」

 

 剣士の男が子供を切り殺そうと剣を振り下ろしたところで咄嗟に介入する。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女賢者と聖女が絶対にできているからとパーティを抜けた剣聖な俺は何故か二人に追いかけられる 〜魔王討伐報酬で俺を女にするって何!?〜 角ウサギ @hedge_hog

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ