第14話 ダンジョンと百合は世界の神秘2

「うん? ダンジョンに付いてくるつもりだったんじゃないの?」

「ノエルはついてきてほしかったの?」

「いや、そういうわけじゃないけど」

 

 少し意外だった。

 てっきり、ダンジョンの探索まで着いてくると思っていたし、八割方諦めていたから。

 

「パーティに入ってるからってソロが認められていないわけじゃないし、ノエルは暫くソロでやりたいんでしょ?」

「暫くというかもうパーティから抜けたつもりだったんだけどね」

 

 抜けるという手は現実的ではないことが分かった。

 もしも抜けるとしたら、国及び冒険者ギルドに認められる理由が必要になるのだ。

 百合の間に挟まる男になりたくないから、って言っても多分通らないからなぁ……。

 三割くらいの人は通してくれるかもしれないけれど、王様はさすがに通してくれなさそう。

 

「どうして二人ともこんなにいいやつなんだよ……」

「何か言いましたか?」

「うん? いや、もしも二人が俺に雑用を押し付けてたり報酬を横取りしたりしてたら簡単にパーティ抜けられるのに、二人とも率先してやってくれるどころか俺の仕事までやってくれるときあるじゃん?」

「え、ええまあそうですね」

 

 少し照れたようにリーシアが答える。

 

「嘘を吐いて二人の評判を下げるわけにもいかないし、パーティを抜ける方法がないなーって思ってさ」

「そ、そういう素直なところ、私は好きですよ」

「うん? おう。俺もリーシアの優しいところ好きだぞ」

「はぁ」


 聖女の職業を貰うには支援魔法と回復魔法に特化するだけでなく、その人自身が聖女にふさわしくなければいけない。

 剣聖も賢者もステータスだったり覚えている魔法の数だったりと、努力すれば慣れるのに対して、聖女は本質が求められるのだ。

 

「別にパーティ所属者がソロでクエストを受けていけないってわけじゃないし、暫くは一時離脱ってことで……もしも高難易度ダンジョンが現れたらパーティとして動くとかで良いんじゃないかしら?」

「そうだなぁ。それが一番良いのかな」

 

 高難易度ダンジョンを攻略するとしたらフランとリーシアとダンジョンに潜るのが一番良いというか、正直それ以外考えられない。

 個々の実力も大切かもしれないが、長期間地上に戻ることのない高難易度ダンジョン攻略で最も大切なのは信頼関係なのだ。

 ダンジョン攻略時専用パーティとでも考えればいいと思う。

 

「じゃあ私たちはここらへんで。パーティなんだから何か困ったことがあったら頼ってね」

「うん!」

 

 そう言ってフラン達とは別の道――ダンジョンがある方向へと歩いていく。

 元々ソロで活動するために準備は重ねてきたのだから、フラン達に頼るような事態には――あ。

 

「フラン!」

「なにー!」

 

 一つ、頼るかもしれないことを思い出した。

 

「女湯に入ったと思ってる男の子が少年が助けを求めてきたら助けてあげて!」

「え!? ちょっと何それ聞いてな――」

 

 フランが戸惑っていたように聞こえたが気のせいだろう。

 俺はアフターケアも欠かさない男なのだ。

 人任せだけど。

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