第23話 阿曽媛

イ「……ウラにいさん、パパ、だって…」


ワ「まあまあの、としこんだよ」


イ「モモねえさん以上いじょうに?」


ワ「モモねえ十歳じゅっさいぐらいちがうだろ。

たしか、阿曽媛あそひめとは二十歳にじゅっさいはなれてたとおもう」


イ「わお…」


モ「あー!あ~ちゃん❗やっとた!

おそいよ、もー、おいでおいで‼️」


モモソヒメは、ソファからがるいきおいだ。


ウ「え、うそっ?!なんで?!い?!」


ウラが、おどろいてモモソヒメにいた。


阿「はじめましてモモねえさ~ん、おうわさは、かねがね❤️

あ~ちゃんもみたいな🎵

いいですかぁ?」


阿曽媛あそひめは、

モモソヒメのるソファへと

スキップしていく。


モ「いいよ➰💮も🎵」


ウ「え、エエエ……(初対面しょたいめん…?)」


ワ「あー、こりゃもう、

おれも、んじゃおかな❤️」


モ「あ~ちゃん、いてよ~、

ウラがさ、英雄えいゆうには悪者わるものがつきもの、

みたいにってたわけ。おかしいでしょ?

そこだとおもうのよ、あたし!

だから、ウラはー………

あ、ごめん、ごめん、まず何飲なにのむ?」


大「モモ?あのさ、って。それさ、

そのウラの悪者わるもの云々うんぬんはなしとかって、

あ~ちゃんにうより、

おれとかのほうがいいんじゃない?

おれくよ?」


大物主おおものぬしが、さりげなく会話かいわみ、

阿曽媛あそひめ自分じぶんとモモソヒメのあいだすわらせた。


阿「あー、ですよね~、

あ~ちゃんちょっとわかんない。

じゃあ、甘いの

おねがいしまーす❤️」


モ「おねがいしまーす!」


ウ「うわー……はいはい……え、モモは?」


モ「エヘヘ、じゃあね~、私も甘いの‼️」


ワ「おまえ……!

ぶりっ子してんじゃねーぞ!」


ここぞとばかりに、ワカタケヒコが

ソファに割り込んできた。


モ「なにを~?!このおとうとめ、やるかぁ?!」


イ「じゃ。おとうさん、

ぼくらはこのへんかえるとしましょうか」


孝「あ、そうね。たのしかったねェ」


ワ「えー!イサセリヒコかえっちゃうの?!

これからモテ指南しなんしてくれるんじゃないの」


モモソヒメとつかっていた

ワカタケヒコがあわててめる。


イ「ハハハ、ウラにいさんもくわしいですよ」


孝「でもかれ無意識むいしきだからね…

おしえるのは苦手にがてかもなあ。

それじゃ、タケぼう一緒いっしょかえろうか。

イサセリヒコに、みちすがらにでも

おしえてもらったらどうだね?」


イ「おとうさん?そういうとなんだか

ぼく計算けいさんしまくりのモテテクニックを

ってるみたいじゃないですか?」


孝「あはは…だってそうでしょ?」


ソファの前のテーブルに置かれていたアフタヌーンティーセットは、いつの間にか女子会仕様のおつまみとお酒に変わっている。


阿曽媛あそひめにつられて

キャピキャピとはしゃぐ

モモソヒメの衣装いしょうも、

GI○ENCHYのシックなくろワンピースから

美少女戦士びしょうじょせんしコスプレのような

コスチュームにわっている。

二人ふたり方向性ほうこうせいちがいはだれにもあきらかだったが、それを指摘してきできる

ものはそこにいなかった。


モ「はい!かんぱーい!!!」


阿「かんぱーい!!!」


モモソヒメと阿曽媛あそひめ女子会じょしかいはじまった。

かえりそびれ、仲間なかまりもしそびれた男達おとこたちは、みな

ダイニングテーブルにつどい、

つぼね若手わかてOLの仮装大会かそうたいかいのような

現場げんば見守みまもっていた。


イ「…よくみますよね、モモねえさん。底無そこなしですよね」


ワ「阿曽媛あそひめって、めるの?」


ウ「え?いや、ほとんど…」


っているこうで


阿曽媛あそひめは、カクテルを一息ひといきした。


ワ「あら、かけによらず酒豪しゅごう?」


ウ「いや、そうじゃなくて…」


阿「プハーッ❗」


阿曽媛あそひめは、グラスをてるように

すっくとがると、

スタスタとダイニングへ突進とっしんしてきた。


イ「あれあれ?」


ウ「あー、早速さっそくきた…」


阿「パーパ!」


ウ「……はい。すみません」


阿「ちがうでしょ、あ~ちゃんが、

まだなにってないでしょ」


ウ「…なんでしょうか?」


ウラはアルカイックスマイルで、仁王立におうだちの

阿曽媛あそひめった。


阿曽媛あそひめはウラの両肩りょうかたつかむが

ウラのからだおおきすぎて

きついているようにしかえない。


ワ「なんか、阿曽媛あそひめちゃん、あの、突拍子とっぴょうしもないからかた

モモねえてない?」


大「ウラくんも、なかなかのMやな」


イ「ですよねえ」


阿「モモねえさんがってたことに、

ちゃんとこたえてください!!」


大「おお、あ~ちゃん、

ちゃんとおくさんしてるね~、

ぼくきになりそう」


ワ「?!どういう思考回路しこうかいろしてんの、義兄にいさんてば…」


阿「パーパ!!」


阿曽媛あそひめが、ウラのむね両手りょうてをグーにして

たたいた。いつになく狂暴きょうぼう阿曽媛あそひめに、

ウラが、をぱちくりさせた。


阿「おぼれたこと内緒ないしょにするから

パパがおにになっちゃったんでしょ!

本当ほんとうは、おにじゃないのに!!

あたし、そんなのやだ!うそだもん!」


ウ「………それは…」


ウラは蟀谷こめかみいて、うつむいた。

阿曽媛あそひめ執拗しつよう

ウラのかおのぞんでにらんでいる。

モモソヒメのうしだてがあるせいか

今日きょうはことのほか強気つよきらしい。


モ「いいぞ~あ~ちゃん、やれやれェ‼️」


モモソヒメがソファから加勢かせいする。


すると大物主おおものぬしが、反撃はんげき仕掛しかけた。


大「モモ?あ~ちゃんが、

うそはだめだってってるぞ!

モモは、なんでも正直しょうじきえたのかなー?」


ワ「!そうだ、モモねえだって、

迷子まいごってわないで神様きみさましてたじゃん!」


モ「!……うっ……」


モモソヒメは、なまハムピーチを

口一杯くちいっぱい頬張ほおばっていたのを、

のどまらせそうになった。


大「あらあら、大変たいへん


大物主おおものぬし

せるモモソヒメをやさしく介抱かいほうした。


大「ごめんごめん、大丈夫だいじょうぶか?」


モ「ぅも~、ぬかとおもった」


大「もうんでるよ(笑)

………でもさ。さっきのはなし

モモだって、正直しょうじきえばかったんだ。

でも、えなかったんだ。

どうしてだろうな?」


やさしく背中せなかさすりながら、

大物主おおものぬしは、微笑ほほえんで

モモソヒメのかおのぞんだ。


モ「………」


大「おれおもうんだけとさ。

たとえばウラは、

子供達こどもたちれてくにはなれてからずっと、

たよられる存在そんざいだっただろ。

それで

期待きたいこたえなければならない、

なさけない姿すがたせてはいけない、と、

いつのにか無意識むいしき

自分じぶんしばりつけるように

なっていたんじゃないかな?」


モ「…」


大「モモもおなじだとおもうよ。

讃岐さぬきで、村人むらびと期待きたい

裏切うらぎりたくないとおもったからこそ、

かみ居続いつづけようとしたんだ。


二人ふたりとも、おなじだし、

だれしもそういうところはあるさ。


自分じぶん理想りそう

みんな期待きたいこたえようとして

頑張がんばるだろう?


だけど時々ときどき無理むりをする。


そうすると

おもわぬ方向ほうこう事態じたい

すすんでしまうことがある…


ウラも、べつ格好かっこうつけようとしたわけじゃ

ないんじゃないかな?」


うつむいていたモモソヒメは、

大物主おおものぬし見上みあげた。


大物主おおものぬしは、微笑ほほえんで

モモソヒメのあたまやさしくでた。


モモソヒメは、

大和やまとでいつもそうしていたように

大物主おおものぬしむねからだあずけて、

じた。


大「……もし、

本当ほんとうのことをっていたら

どうなっただろう?

案外あんがいわるくなかったかもな」


おどろいたようにかおげた

モモソヒメをて、

大物主おおものぬしわらった。


すると、

ウラのひざすわっていていた

阿曽媛あそひめ


阿「あ!わたし

モモタロウだん団長だんちょうに、

本当ほんとうのことった!!」


皆『エエエエエエ‼️』


ガタガタッと椅子いすらして

ったウラに


阿「あれ?内緒じゃなかったね」


阿曽媛あそひめくびかしげていた。


ウ「……そ、そそそれで…?」


阿「あーちゃん、団長が

一緒いっしょいてくれて、うれしかった。

だまってるの大変たいへんだったんだもん!

パパは

いつもかっこつけてるけど、

かっこわるいとこも、

あ~ちゃんきだよ?

みんなも、そうだよ?」


ウ「……///」


大「…あ~ちゃんにはかなわないなぁ」


大物主おおものぬしは、かたふるわせてわらっている。


ワ「あ、ちなみに、やま出没しゅつぼつしたおおきなけものも、

でっちげです。ウラにいさん自覚じかくなくて

当然とうぜんだからね」


ウ「な!?…なんだ~、あせるやん…

てか、って。おれあらぶるかみみたいに

したの、結局けっきょく、おまえらだよな…

おれ悪役あくやくってことにになっても

全然ぜんぜんいいけどさ、

カッコわるいとこ内緒ないしょにしててくれたのも

かなりがたかったけどさ、

ま、バレてたみたいだけど?でも、

そもそも、

昔話むかしばなし

鬼退治話おにたいじばなしになったのって、

そのつくばなしのせい

じゃないの?」


モ・阿「あ。」


ウ「だろ?」


阿「…えへへ…あーちゃんのせい?

アハハー……そうみたい…

モモ姉さん、ごめんなさい…」


モ「あーちゃん…」


大「ハハハ、阿曽媛の仕業じゃあ、

仕方がないな、なぁ?モモ?」


大物主おおものぬしが、モモソヒメのかおのぞんだ。



バツのわるいモモソヒメは

プイとがると窓辺まどべき、

相変あいかわらずうつくしくきらめく

あまがわつぶやいた。


モ「おじいさんとおばあさんに、

あのときわたし迷子まいごです、って

正直しょうじきっていたら

どうなってたんだろ…」


すると孝霊天皇こうれいてんのうまどそとつめてった。


孝「案外あんがい、お二人ふたりも、むらみなさんも、

まえ迷子まいごかっていたかもれないよ。

たしかにはじめは、強烈きょうれつ登場とうじょう仕方しかたで、

むらみずをもたらしたかみ、と思えたかもしれないが、健気けなげはたらくおまえさんを、ただただ

いとしく、大事だいじに思ってくれたのではないかな」


モ「……」


孝「それに、おまえさんが頑張がんばったおかげで、ウラくん吉備きびむすぶことができた。

ウラくんとモモソヒメとワカタケヒコの、本当ほんとう桃太郎伝説ももたろうでんせつが、これをみんなってもらえるといいなあ」


モモソヒメのに、あまがわ一層いっそうきらめいてうつった。



ワ「あ、おじいさんとおばあさん、ぶ?」


ワカタケヒコが悪戯いたずらっぽくわらった。


モ「?!え、い、いやーー、

いい、いい。遠慮えんりょするよっ///

ええと…もう、も!ビールビール!

あ、てよ?やっぱりワイン‼️」


イ「はーい、ワイン只今ただいま(笑)」


ワ「……かぐやひめとか、みずかみとか、

モモねえほうこそ、詐欺さぎじゃねえ?」


大「ハハハ」


孝「いやいや、全部ぜんぶ本当ほんとうのモモソヒメですよ(笑)」


阿「みなさ~ん、なにまれますか~?」


大「あ、ハイ、ハイ!ぼく、あ~ちゃんと一緒いっしょの!」


阿「はーい、甘いのですね❤️」


ワ「あ、じゃぼくは、ビールください❤️」


イ「あ、じゃ僕もビール頂きます」


阿「はい❤️ビール2つですね~」


孝「ワシ、むぎ番茶割ばんちゃわりに梅干うめぼし。ホットでね」


ワ「父上、結構呑んでるけど

ダイジョウブ?」


孝「いやぁ、どんどん、若返ってるみたいよ、ワシ。さあさあ、みんなものそろいましたかな?

……では、改めまして。桃太郎伝説ももたろうでんせつ前途ぜんとしゅくして、

乾杯かんぱい~」


皆『かんぱーい!!!』


天上てんじょう宴会えんかいわらない。




               




































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兎に角、モモソヒメの話を聞こうか。 枝茂樹喜貴 @kakumico

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