第22話 ネタバレ

モ「キャー!?あっづっっ?!」


モモソヒメが

盛大せいだい紅茶こうちゃこぼ

ワンピースのひざらした。


大「ああ、あらあら、大変たいへん大変たいへん…」


大物主おおものぬしが、モモソヒメをたせて

れたあしいてやる。


モ「なにいまの?

ねえ、ちょっと!

やっぱりウラは……

退治たいじされたってはなし!?」


大物主おおものぬし微笑ほほえんで、

からになったティーカップを

モモソヒメのからそっとはずし、

テーブルにいた。


呆然ぼうぜんくすモモソヒメの

足元あしもとこぼれた紅茶こうちゃえた大物主おおものぬしは、

ふう、とひたいあせぬぐ素振そぶりをして、


大「しかし、このおとぎばなしは、くできてるなあ」


と、つぶやいた。


モ「え?」


すると

こらえきれなくなったように

イサセリヒコとワカタケヒコがそろって

プッ、と


ワ「滅茶苦茶めちゃくちゃだけどな!」


イ「でもどうせなら、

ここのところの描写びょうしゃを、ちゃんと

桃太郎ももたろう昔話むかしばなしんでしいですよね」


ウ「…はげしすぎやん……?

くわ、

最後さいごには丸飲まるのみにするわ…

おれ何度なんどいてもおそろしくて…」


ワ「あれかんがえたの、ほとんどトメタマヒメだよ。

トメタマヒメが得意とくい攻撃こうげきばっかりだろ。

ウラをきじにしたのだって、

あいつ、雉狩かじがきなんだよ。こええよなー。

文句言もんくいって、やっと

イサセリヒコがになって

こいむことになったけど(笑)、

はじめは自分じぶんたかになってきじとす

つもりだったんだ」


イ「ハハハ…トメタマヒメさん、

本当ほんとうたのしそうでしたもんね」


ワ「……阿曽媛あそひめ一緒いっしょになって、

絶対ぜったい命中めいちゅうさせろとか、

あおりまくってたよな」


イ「これぞ、可愛かわいあまってにく百倍ひゃくばい………」


イサセリヒコの言葉ことば

ソファのすみ孝霊天皇こうれいてんのううなずいている。


ウ「……あ」


モモソヒメがかたまっているのに

ウラがづいた。

いたくちふさがらないまま、

モモソヒメはくしていた。


大物主おおものぬしが、クスッとわらって、

やさしくモモソヒメのをとると、

そっとソファにすわらせた。


大「ウラをまつることにしたとき

難破なんぱしたことせておくとして、

ただ突然とつぜんかえったきりのウラをまつるのでは、

格好かっこうがつかなかったんだろう。

それで、あらぶるかみしずめる、てきな、

社建立やしろこんりゅう理由りゆうをでっちげたんだよ」


モ「はは…なんだ、

本当ほんとうにあったはなしじゃないのね…」


事態じたいめたのかどうか、

モモソヒメはまだ呆然ぼうぜんとしていたが、


ウラは、すっくとがると

最敬礼さいけいれいのお辞儀じぎをした。


ウ「…タケぼう、イサセリヒコ、

おれおぼれたことをせておいてくれて

本当ほんとうにありがとう!!!」


ワカタケヒコとイサセリヒコは、

かお見合みあわせてかたすくめた。


ワ「なんかとってもウラらしいけど、

ちょっとみんなづらかったよなあ…」


イ「モモタロウだんにはとくに…」


ワ「うーん…ウラの正直者しょうじきものとしての信念しんねんつらぬくなら、本当ほんとうのことをうべきなのか?とも

おもったんだけどな~?」


ウ「………いや、本当ほんとうに、感謝かんしゃしてます」


ウラが、こしひくくして

してせたので

みんなわらっていたが、


モモソヒメは、また一人ひとりのこされたように

その様子ようすをぼんやりとていた。


ワ「まあ、ウラがおぼれたとえなかったのもあるけど、イサセリヒコも、モモタロウだん

格好かっこういいとこせたかったし。

なにせ、大吉備冠者おおきびかじゃとして

大和やまとから派遣はけんされてるのにめられちゃってて…

いい機会きかいだったよな」


ウ「うん、英雄伝説えいゆうでんせつには、悪者わるもの必要ひつようだ!

それで、めでたくイサセリヒコが

名実めいじつともに大吉備冠者おおきびかじゃとして

むかれられたわけだ。

…とはいえ、

よく本当ほんとうのことをかくとおせたな…」


イ「つけたのが、

トメタマヒメさんだったんですよね」


裏山うらやま雉狩きじがりに出掛てかけた

トメタマヒメが、偶然ぐうぜん

見下みおろした船着ふなつ

ふね残骸ざんがい

ながいているのをつけた。


それが百済くだらのものらしいと分かり、

吉備冠者きびかじゃだけで秘密裏ひみつり捜索そうさくし、

そして、

ウラの亡骸なきがら発見はっけんしたのだった。


ふね状態じょうたいから座礁ざしょうしたと分かり、

大和やまとから百済くだらこと次第しだい報告ほうこくした。

そして、ウラは吉備きび手厚てあつほうむ

ウラをまつやしろ吉備きび建立こんりゅうすることになったのだった。


孝「そこで、トメタマヒメさんが

伝説でんせつ創作そうさくしたというわけか」


ワ「そうそう。あやうく、トメタマヒメが

英雄えいゆうになりかけたけど(笑)。まあ、

トメタマヒメがつけていなければ、

どうなっていたか分からないしな…

なんにせよウラは、難破なんぱしたなんて

いたくないだろうというのは……」


イ「吉備冠者きびかじゃ満場一致まんじょういっちでしたね(笑)」


ウ「感謝かんしゃしかないよ………(涙)」


大「ところで、になってたんだけどさ。

うわさ発端ほったんになった、

おおきなかげってのは、

本当ほんとうにウラくんれいだったとか?」


ウ「え?いやあ、自覚じかくいんですけど、

本当ほんとうわけからなくて…もしかしておれ

ウロウロしていたのかな…??」


モ「ウラはよく天上てんじょうからも

阿曽媛あそひめさんにいにってたし、

やっぱり阿曽媛あそひめさんのところへ

きたかったんじゃないの?」


モモソヒメは、

ましがお紅茶こうちゃなおしている。


ウ「…ぁ、うん?いや、まあ……

それは、ほら、仕事しごともあったしな。

おれ神事しんじ毎年まいとし阿曽媛あそひめがやってたからさ」


イ「…………ウラにいさんて」


ワ「あれ絶対ぜったいモモねえちゃんに

わけしてるよな?」


イ「モモねえさんも、

あれはいてるんですかね」


二人ふたりおおきめのこえでヒソヒソと

っていると、

面白おもしろがって大物主おおものぬし加勢かせいした。


大「おっととしてわせてもらうが、

ウラくん遠慮えんりょはいらないぞ!」


ウ「?!」


イ「阿曽媛あそひめさんは、

ウラにいさんの片思かたおもいのこと

ってましたよ」


ウ「片思かたおもい?!」


ウラがすっとんきょうなこえげた。


イ「大釜おおがまをずっと大事たいじにしてたって。

モモねえさんとのおもしなでしょ。

だから阿曽媛あそひめさん、

神事しんじ大釜おおがま使つかおうってったんですよね?」


ワ「ああ、そうかー!そうだったな!

阿曽媛あそひめ大釜おおがまやしろまつろうってってた。

あれ、いえにはくとこないからって

ってたけど、そりゃ、

旦那だんな初恋はつこいおもなんか、いえには

きたくないよな~」


ウ「は 初恋はつこい……?!

いやいや、何言なにいってるの、

ちょっとって。阿曽媛あそひめが……??

ごめんおれ、ちょっと」


ウラがあわてて部屋へやていこうと、ドアのほうかう。


そのとき、バーンとドアが威勢いせいよくひらいた。


阿「こんばんは~!

ウラがお世話せわになってますぅ~!」


ブロンズのくるくるに、

こぼれちそうなおおきなひとみ

ぷるぷる艶々つやつやリップで

ほがらかにわらいながら

ふわふわピンクほっぺのおんながウラのまえふさがった。


厚底あつぞこうえにヒールたか15センチの

ミュールをいても小柄こがらで、

ウラのかたに、ちょこんとって

おさまりそうだ。


リ○ちゃん人形にんぎょうのようなフリフリに

ポップなカラーのミニワンピースから

しげもなく若々わかわかしい

しろくすらりとしたあし披露ひろうしている。


阿曽媛あそひめだった。


ウ「お、おまえっ///」


阿「もー、パパおそいから、

あ~ちゃん、心配しんぱいちゃった❗」


男衆『……あ~ちゃん……』


イサセリヒコ登場とうじょうとき以上いじょう

男達おとこたちのオーラにかがやきがしたのを

モモソヒメは

菩薩顔ぼさつがお静観せいかんしていた。





















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