その呼吸のたびに思い出す。

 難解だが、連続性を持った詩集。
 呼吸をするたびに、肺の中に満ちるものは何なのか。
 呼吸するたびに、鼻孔をくすぐるのは何なのか。
 くすんで汚れた雨空のもとで、手を止めて感じる。
 写真とホルマリンなら、姿形を維持していくことに関して言えば同じこと。しかしその匂いは、けして同じにはならないことを知っている。

 哲学的な一作。
 是非、御一読下さい。