第13話 クエストスタート!!

 創造主とかいう新しいギルドメンバーからのクエストを受けることにしたタローたち。クエストの内容は、歴代の勇者を倒すことであった。情報を見ると、タローが小中学生時代にやった懐かしの装備の姿もある。



 まずはタローとスミレ、そしてダークゲイザーの三人で挑むことになった。サラクエⅡの三勇士が初戦の相手であったが、僧侶と剣士二人の編成はバランスが取れており、とても厄介なのである。


「行きますぜい!!」

 ≪ダークゲイザーは“暗黒の深淵”を放った≫

 黒い渦が三勇士を包み込む。継続ダメージと与えつつ、命中率を下げた。


「私はゴリゴリ削っていくだけ!」

 ≪スミレは“海龍呼び”をおこなった≫

 自分たちのフィールドから水が吹き出し、大きな海龍が現れ、高圧の水流ブレスを三勇士に叩き込んだ。


「キラーン✴︎」

 ≪回復の三勇士クリスタは“氷結晶の盾”をかざした≫

 海龍のブレスは盾により反転し、タローたちへ飛んできた。吹き飛ぶ一同。


「反射盾まで持ってるのか。それじゃ、ブレスと魔法は使えない」

 タローは早くも追い込まれていた。タローの賢者には、槍を装備し魔法でステータスをあげて戦う“打撃賢者”も存在する。しかし、タローのスタイルはあくまで魔法主体の“魔法賢者”なのだ。


「とりあえず、これで」

 ≪タローは“ジワジワナオール”を唱えた≫

 ダークゲイザーたちを緑色の光が包み込む。魔法が撃てない今、最善策は継続回復を仲間につけておくことだった。


 次は相手が攻撃してくる。


「ゴゴゴ...」

 ≪迅雷の三勇士ディバインは力をためている≫

 空模様が幾分か暗くなったように思える。剣を抜く構えのまま帯電するディバイン。タローたちには、それがカウンターの構えなのか、大技の前触れなのか、わかりえない。


「一旦、ディバインへの攻撃は避けましょう」

 タローが呼びかけた時、スミレがフィールド隅まで吹っ飛んだ。

「なにが、、くっ、、、」

 状況を確認する間も無く、タローも吹き飛ばされた。画面を見てみると、

 ≪疾風の三勇士ムーチョは“ハヤテ”をはなった≫

“ハヤテ”とは風属性が付与された剣士系の技であり、素早さが高いほど攻撃回数が増えやすい(最大5回)というもの。タローたちは知るよしもないが、ムーチョの素早さはカンスト(最大値のこと)しているため、確実に5回当ててくる。残りの3回はダークゲイザーが2回、スミレが1回だった。


 その後、行動がまわってきたクリスタは状態異常回復をおこない、ターン1で仕込んだ継続ダメージと命中率ダウンは消えてしまった。


 -ターン2

「威力が高くないとはいえ、5回も出してくると痛いっすね」

 そう言いながら、ダークゲイザーはヘイトを集め、自らに攻撃を集中させる“ロアーアーマー”を発動した。


 スミレは防御力を低さから、半分程度の体力を削られていた。しかしながら、回復することなく攻撃を繰り出していく。


 それから3ターンもの間、自らに攻撃を集中させているダークゲイザーをタローが回復担当となり支え、フリーとなっているスミレがひたすらにムーチョを削るという形が続いた。


 そして、迎えたターン5の冒頭。今まで帯電し、静かだったディバインが動きだす。


「我がつるぎいかずちに変えて、白刃雷光剣はくじんらいこうけん!!!」

 雷のごとく白く輝く稲光いなびかりの剣が振り下ろされる。



 -別のフィールド

「まさか創造主ゲームマスターと一緒に戦うことになるとは、楽しくなりそうです」

「NPCじゃなくてユーザーでログインしてるから期待しないでくれ」

 創造主と神父の目の前には「サラクエⅤ」の主人公キャラの姿があった。


「あいつは自分が作ってないから、わかんないなぁ。バグシードの影響を考えると、イベント用の大技も撃ってくるかもしれない。気をつけていこう」

「あの雷のようなものですか?」


 神父の指す先には、白い稲妻が光っている。

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神父さまといっしょ〜データごと消しちゃうぞ〜 拙井松明 @Kazama74Tsutanai

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