タイトルに偽りなし

 魔法使いの偽シンデレラさんの誕生の物語であり、また同時にシンデレラが殺され人魚姫に生存フラグが立つお話です。
 要はタイトルそのまんまなのですが、このそのまんまっぷりが最高でした。「そのまんまだ!」という気持ちと「いや確かにそのまんまではあるけど!」という思いが、交互あるいは同時に襲いくるパワフルなコメディ。勢いというか破壊力というか、読んでいる側の立場としてはインパクト重視の作品のように感じられるものの、でもその実ネタの組み立て方や処理が非常に細やかな(だからこそ読んでいる間はそれらを意識せずただ笑っていられる)、とても丁寧に描かれた物語でした。
 お話の筋そのものは、童話の世界に転生した主人公がいろいろ頑張る、というもの。といっても、ストーリーについてはあまり気にしなくてもいいかもしれません。気がついたら引き込まれているというか、冒頭からいきなり強烈な一撃を見舞ってきて、そのまま物語に引き摺り込んでくれます。
 お話の展開のさせ方というか、緊張と脱力のリズムが好きです。中盤の変拍子なんかもう最高でした。グイグイ引っ張ってくれてスカッと読める、とても笑えるお話です。