第10話 昇格組
レガレスの練習風景は他のクラブと異なる。
彼らはポジション別に違った練習を行っているのだ。
それはヨハンがこのチームに来てからである。
この練習を始めてからの数週間はチーム内外から問題視もされていたが、ヨハンはブレなかった。
次第にヨハンの頭の中のイメージに近いていった。
選手たちにポジション毎のプレーモデル、役割を与えていく。
そのジグソーパズルの様に色々な形をしたプレイヤー達を彼の頭の中で組み上げていく。
それが試合中に噛み合っていき、お互いのプレーを理解していく内にレガレスは自然と勝てるチームとなっていった。
「さあ今日の試合はマヨールカ戦だ。
昨年14位のチームで戦力も変わりない。
この試合は先日から話している通り、
今まで築き上げた自分達の
プレースタイルで挑もう。」
スターティングメンバーは前回と同じだ。
選手達はやる気に満ちた顔をしていた。
『レガレスまたしても失点だー!!』
「先日のバルセロナ戦はちょっと上手くいきすぎたのかもしれませんね。
プレースピード、強度について行けてないですね。」
試合中、レガレスの選手の顔は次第に疲労感と焦りが表れていた。
その焦りが尚更自分達の首を締めていた。
「またしてもマヨールカがパスをカットしてカウンターだ!」
相手のプレッシングが早い。
そしてコースが消されている。
今までであったら寄せられる前に身体の向きを変え、連動出来ていた。
だが、それが出来ずにワンタッチに拘りミスが続いていた。
ピーーーピーーーピーーーーーッ!
審判がロスタイムの終わりの笛を告げる。
『3-0でマヨールカがホームでの初戦を飾りました。』
ーーーーーーー
1週間後
ピーーピーーピーーーーッ!
『レガレスまたしても敗戦。
これで3連敗です。
やはり昇格組には厳しかったか!?』
「ヨハン監督の引き出しの無さにも問題がありますね。
毎回同じメンバーで負けてますからね。
もう引きこもってなど、戦術を変えていかないと降格争いが待ってますね。」
ヨハンは早々にスタジアムを後にする。
だが彼の顔には焦りの色は微塵もない。
むしろ喜んでいる様にも思えた。
「よし。これで次は勝てそうだな。」
彼は顎をさすりながらそう呟くのであった。
ファンからのブーイングはと言うと、意外と少ない。
それはこの何年かのヨハンの手腕を見てきたからである。
一部のファンは彼に対して批判的であったが
クラブ内含めて、まだヨハンに対しての許された時間があった。
だがそれも長くはないだろう。
一部では次の監督の候補者を探り始めている。
そして選手達の雰囲気もあまり良くない。
そしてつぎは3試合ぶりのホーム戦。
ここが勝負になる。
ファン、クラブに関わる誰もがそう思う戦いが始まるのであった。
だが相手は強敵だ。
イタリアの闘将 ボッタルガ が監督の
現在5位につける古豪だ。
次節
レガレスvsアトラックス・マドリード
(14位) (5位)
彼はトーンキックしか出来ないが自分の絶対的な哲学を確立して監督としてのサッカーを極める。 児鳥だよ @kakuyomina
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。彼はトーンキックしか出来ないが自分の絶対的な哲学を確立して監督としてのサッカーを極める。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます