第9話 また、会えるよね

  氷の神殿の中を更に進むと祭壇がある。


「遅かったな……」


 姫様は祭壇に乗せられていた。身長の高い男性が氷の天界の姫様の隣にいる。


「姫様、氷の天界に帰りましょう」


 マヤが声を放つ。


「無駄だ、この姫様は完全に我が手中にある」


 姫様が起き上がり手をかざすと炎が現れる。


「どうだ、皮肉だろう、氷の天界の姫様を炎使いにしてやった」

「お前は何者だ、何故、氷の天界を狙う」


 リアが男性に問いかけるのであった。


「わたしは『ルート』悪意の化身、この姫様が望んだ者だ」


 どうやら、ルートは姫様の心が生み出した影の様な存在らしい。そして、姫様と『雪の聖女』との戦闘が始まる。姫様と『雪の聖女』の力は同等、鍵になったのは義元の存在であった。義元の弓矢により姫様は倒れてルートは消えていく。


「姫様の憎しみの炎は消えない。我は何度でも復活する……」


 俺達は結局、姫様を深い眠りにつかせて氷の神殿を出る。帰り道は皆に言葉は無かった。冬目神社に戻ると親父の手料理が待っていた。姫様は起きることなく眠り続けていた。食べ終わると、俺はこれでお別れなのか聞いてみた。


「はい、わたし達の使命は姫様の救出です。形はどうであれ姫様が戻りました」


 リアは寂しそうに言う。


「大丈夫です、御神木があるかぎり、行き来は自由です」


 サナが御神木を見ながら話す。


「わたしはヤダなこの世界では猫だもの」


 マヤは相変わらずわがままだ。


 『雪の聖女』と姫様は御神木の前に行き別れを告げる。


「また、会えるね」

「えぇ、この世界に義元がいるかぎりです」


 消えていく皆に俺は強くなる事を心に誓うのであった。

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雪の聖女 霜花 桔梗 @myosotis2

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