戦い、その後
「皇帝にはどう報告するかな」
ギルティが呟いた。
エリーゼが微笑む。
「ありのままを話せばよいと思いますよ」
「”封印すべきもの”を倒したのは立派だったが、イーヴィルとバードの悪行を黙ってみすごすつもりはない」
「私の事でしたら、大丈夫ですよ。魂は身体に戻ってこれましたし、彼らの行く末を見守りたいです」
「……俺の領土の事を忘れたのか」
ギルティが溜め息を吐くと、スバルはけらけら笑った。
「あれは災難だったな。けどよ、バードが作った魔剣のおかげで助かっただろ。バードは心の底からギルティ様の領土を滅ぼしたかったわけじゃないと思うぜ」
「真意は何でもいいが、領民は納得しないだろうな」
ギルティが気を失っているバードに視線を移す。
イーヴィルはバードを抱えながら、涙目になっていた。
「バードは助けなさい。私の命令に忠実だっただけよ!」
「実際に手をくだしてきたのはバードだ。おとがめなしとはいかないだろう」
「そもそもスバルたちがコロセウムのルールを破ったのがいけないのよ。あなたの監督不行き届きも問題だわ」
「……おまえが定めたコロセウムのルールは、何のためだった? ”封印すべきもの”に対する生贄を稼ぐためだったとしても、意義が薄い。”封印すべきもの”を倒せる人材をつぶそうとしていたな」
「それは……!」
イーヴィルは言葉をつまらせた。
悔しそうに視線をそらす。
「分かったわ。私にも判断ミスはあったわ。でも、バードだけは許して」
「バードの分も処分を受けるつもりか? おまえたちの罪は償いきれるものか?」
ギルティの口調は冷徹だった。
イーヴィルは声を震わせる。
「覚悟はできているわ。どうにでもして」
「ギルティ様、ちょっといいか。イーヴィルもバードもおとがめなしとはいかないと思うけどよ、罰を与えるだけじゃかわいそうだと思うぜ」
スバルが口を挟むと、ギルティは眉根をよせた。
「本気で言っているのか? おまえたちが被った害は計り知れないだろう」
「そりゃそうだけどよ、こいつらには事情があった。俺が反乱軍を殺したようにな。皇帝への報告は、そのへんも含めて頼むぜ」
「私からもお願いします!」
エリーゼは深々と礼をした。
”封印すべきもの”は圧倒的であった。
イーヴィルやバードだけでは解決できなかっただろう。
ギルティは天井を仰いだ。
「ルーシーはいいのか? ウルスラはどうでもいいとして」
「……アルテ王国を滅ぼされたのは許せないけど、これから復興に力を貸してくれるのなら考えるわ」
「私の扱いがひどすぎないか?」
ルーシーは胸を張り、ウルスラは唇をとがらせていた。
魔剣使いは人助けをしたいだけなのに 今晩葉ミチル @konmitiru123
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