第5話 ギルド

2日目の朝。窓から差し込む朝日で目を覚ました。ベットから起き上がり、身支度を整え、部屋の鍵を掛け、食堂に下りて行った。

食堂には既に、 シリカとシルが朝食を取っていた。2人と目が合うとシリカが手招きしてきた。俺は2人と同じ席についた。


すると、アヤさんが俺の元に朝食を運んで来てくれた。朝食のラインナップはパンにシチュー、コーンスープ、トマトサラダ。ここの朝食は本当に美味しかった。 朝食を食べ終わると早速俺たちはギルドに向かった。ギルドの場所は町の中心にありとても分かりやすかった。


ギルドの扉をくぐると、ギルドの中はそこそこ賑わっていた。ギルドは「銀鷲」と同じく2階建てだった。1階は飲食店になっており、2階はギルドの資料室などになっていた。1階の飲食店の雰囲気はとても明るく、思っていたのとは違った。てっきり、理不尽な理由で絡まれると思いハンドガンを用意していのだが、無駄に終わったな。


カウンターに向かうと、受付けのお姉さんが優しくにこやかに微笑んでくれた。


「すいません。冒険者登録お願いします


「はい、かしこまりました。後ろの方たちを含めて3名様ですね」


「はい、そうです」


「3名様は、冒険者登録は初めてでしょうか?」


「はい、そうです」


「でしたら、簡単に登録の説明をさせていただきますね」


「はい、分かりました」


お姉さんが言うには、依頼者の仕事を紹介して、その仲介料を取る。それがギルドらしい。


冒険者の仕事クエストはS、A、B、C、D、E、Fの7つに分かれているらしい。下級冒険者はE、Fのクエストしか受けることができない。中級冒険者はBまでのクエストを受けることができる。上級冒険者はSまでのクエストを受けることができる。


クエストを完了すれば、クエストの難易度によって報酬を貰うことができる。しかし、依頼を失敗してしまうと報酬は貰えず、更に違反料を払う事になってしまうらしい。そうなると、クエストは自分たちにあったものを選ぶのが大切だな。


それと、数回ルール違反すると、悪質な冒険者とされ冒険者登録を抹消されてしまう。どんな事がルール違反かと言うと仲間を見捨てたり、仲間を裏切ったり、殺人を起こしたり等がルール違反にあたるらしい。


「以上で、冒険者登録の説明を終わらせていただきますね。質問等がありましたら、係の者にお尋ねください」


「分かりました」


「では、こちらの用紙に名前等の必要事項を記入してください」


受付けのお姉さんは3枚の用紙を取り出し、俺たちに渡してきた。だが、俺はなんて書いてあるのか分からないし、文字も書けないため、受付けのお姉さんが代筆してくれた。しかし、読み書きが出来ないと今後不便になりそうだな・・・・・・。後で読み書きの練習をしないとな。


登録用紙に記入が終わると、受付けのお姉さんはブロンズのカードを渡してきた。 お姉さんが言うにはブロンズ、シルバーが下級冒険者。ゴールド、プラチナが中級冒険者。ダイヤモンドが上級冒険者となっているらしい。


「この、ギルドカードは1度紛失すると、再発行まで結構な時間が掛かってしまうので、紛失しないように、しっかりと、管理しておいて下さいね」


「分かりました」


「以上で冒険者登録は終了です。クエストなどは後ろのボードに添付されていますので、そちらをご確認の上、依頼受付に申請して下さい」


冒険者登録が終わると俺たちはクエストが貼り出されているボードの前に向かった。ボードの前に立つ俺たちの首にはブロンズのカードが掛かっていた。ブロンズ。つまり初心者を表している。ブロンズの冒険者はFとEのクエストしか受けられない。だが、それでもクエストの量は多くシリカとシルは考え込みながら、1枚1枚内容を読み検討していた。


俺に至っては、文字が読めないため、ボーッと眺めてるしかなかった。


「ね、ね。シル、春馬これなんかどうかな?Eクエスト出し、報酬もいいしさ!!」


「うん、私はいいと思うよ」


「なぁ、どんな内容なんだ?俺文字読めなくって内容が分からないんだが」


しばらくして、シリカが1枚のEクエストの貼り紙を持ってきた。シルは賛成していたが、俺は文字読めないため一切クエストの内容が分からず賛成、反対もできなかった。


「えーと、クエストの内容は東の森に住み着いているゴンフルフ3体の討伐だって。報酬銅貨15枚だって」


文字が読めない俺のために、シリカがクエストの説明をしてくれた。報酬は銅貨15枚か。悪くないな。


「うん。俺もそれでいいと思うよ」


「オッケー、じゃ、クエスト申請して来るね」


シリカはクエスト用紙を持ち、受付けにクエスト申請をしに行った。ゴンフルフねー。名前からして普通の狼だと思うし、まぁハンドガンがあれば何とかなるだろう。


「あっ・・・・・・!!大事なことを忘れていました!!」


「どうした?」


急に大声を上げたシルに俺は尋ねた。


「私たち、まだ武器を買っていませんでした!」


シルが言うには2人はまだ武器を買っていなかったらしい。それにしても、武器を買い忘れるなんて今後大丈夫かな?俺は不安でしょうがないよシリカかシル・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

寿命の蝋燭を消された男は神の手によって異世界へ くろとら @kurotora1483

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ