第4話 2人の美少女

路地裏に入って行くと、路地裏の奥で複数の男女が言い争いをしていた。 人数は、男は5人。対して少女は2人。男は5人ともガラの悪そうな奴らだった。それに対して、少女2人はとても可憐な容姿をしており可愛かった。少女2人の年齢は恐らく俺と同じぐらいだろう。

それにしても2人とも正反対な性格をしてそうだな・・・。

赤髪のロングヘアの少女は男たちに負けず、言い争っており、片や水色の髪のショートカットの少女はロングヘアの少女の後ろに隠れて怯えていた。


「ちょっと、約束が違うじゃない!!護衛料は金貨1枚っていうはずでしょ!!」


ロングヘアの少女は男たちに向かって声を荒らげた。男たちはニヤニヤと少女たちの体を見ながら薄笑いを浮かべていた。


「なに言ってやがる。確かに護衛料は金貨1枚と言ったさ。だが、俺の仲間の1人が怪我を負わされてしまった。ほら、ここだ、よく見ろ。この怪我は直ぐに治療しないといけない。だから、治療費を込めて金貨3枚なんだよ」


男たちのリーダー格は少女たちに手を差し出した。恐らく、「早く金貨3枚払え」という意思表示だろう。


「そんな傷、ただの軽傷でしょ!!そんなの、貴方たちが持ってるポーションをかければ治るでしょ!!」


ロングヘアの少女は男の傷を見て声を荒らげ、男たちを睨みつけた。


「そんなに、睨みつけたって俺たちがビビるとでも?金貨3枚が払えないなら、お前らの体で払ってもらわねぇとな」


男たちはどうやら、2人の体が目的だったようで、下品な笑い声を漏らしながら近寄って行った。


「こ・・・・・・来ないで!!」


「ひ・・・・・・ヒィィ!!」


ロングヘアの少女は手を振りかざし男たちを牽制し、ショートカットの少女はロングヘアの少女の後ろで小さい悲鳴を上げ怯えていた。



「お取り込み中、すいません。少しいいですか?」


流石にこれ以上黙って見てるのは心苦しいため、割って入ることにした。


「あ?なんだテメエは?俺たちになんか用でもあんのか?」


「いや、俺が用があるのは貴方たちでは無く、後ろの女の子たちに」


「えっ、私たち?」


突然俺に声をかけられた男は邪悪な目を向け、脅すように声を荒らげた。俺は男を無視して後ろにいるロングヘアの少女に声をかけた。


「うん、君たち。俺がコイツらの代わりに護衛してあげようか?あっ、勿論代金は通常の値段金貨1枚で大丈夫だから」


俺の言葉にしばらくポカーンとしていたロングヘアの少女は、やがて俺の言葉を理解し、答えてくれた。


「分かったわ、貴方に護衛の依頼を頼むわ!!」


「了解。じゃ、まず何をすればいい?」


「この、男たちをやっつけて!!」


「了解!!」


「なっ!!てめぇ、ふざける─────」


ロングヘアの少女が男たちを倒すように指示を出し、男の1人がロングヘアの少女に拳を振り上げた時大きな音が響き渡り男は地面に倒れた。


「なっ、てめぇ何をしやがった!!」


「うん、単純に銃を撃っただけですよ?あっ、弾はゴム弾にしてるので殺してはいなのいので安心してください」


「野郎!!ふざけるな!!」


男の1人が叫びながら懐からナイフを抜き、俺に襲いかかってきた。俺は男の動きを見ながらナイフを躱した。何故、ナイフを躱せたのかは分からないが、何故か躱せる気がした。もしかしたら、神様が俺の身体能力を上げてくれていたかもしれない。


「ぐわっ・・・!!」


ナイフを避け続け、男の動きが甘くなったのを見て、3発の銃弾を男の腹部に撃ち込んだ。男は苦しい声を上げ、そのまま気絶した。

「キャャャ!!」と悲鳴が聞こえ、振り返るともう1人の男が少女たちを襲おうとしていた。すぐさま男に銃を向け彼女たちに当たらないように後頭部に1発の銃弾を撃ち込んだ。男はそのまま倒れ動かなくなった。

まさか、こんな数分で勝負が決まるとは思ってもみなかったな。なんか拍子抜けだ。俺は取り敢えず少女たちに近寄り声をかけた。


「大丈夫だった?」


「えぇ、怪我はしてないわ。それと、助けてくれてありがとう。あたしは、エミリ・シリカ。こっちは、幼馴染のカムイ・シルよ」


「た・・・・・・助けてくださり、ありがとうございました」


ロングヘアの少女エミリ・シリカが軽くお礼を言い、シリカの後ろに隠れていたショートカットの少女カムイ・シルがぺこりと頭を下げお礼を言った。


「貴方名前は?」


「音無春馬。家名が音無で、名前が春馬ね」


「へぇー。家名と名前が逆なんだ。じゃ、極極東の生まれ?」


「まぁ、そんなところかな」


シリカに名前を聞かれ名乗ると、宿屋のアヤさんと同じ反応をされた。ってか、極極東ってどんな国なんだよ。多分日本に似てるところだと思うけど、気になるな。



 「へぇ〜、春馬もこの町に来たばかりなんだ」


と飲み物を飲みながらシリカが言った。まぁ、この町というよりこ・の・世・界・に・という方が正しいだろう。

あれから、俺は宿屋「銀鷲」に戻ってきていた。因みに、彼女たちもここ「銀鷲」に宿泊しているらしく、一緒に戻って来た。

そして、お腹が減っていたこともあり、一緒に食事をとることにした。今は、食事を終え食後のお茶を飲みながら雑談をしている。


「私たちも、この町のギルドで冒険者登録するために来たんだけど、酷い目にあったわ。一応盗賊に備えて冒険者に護衛を頼んだけど、まさか、あんな目にあうとは思っていなかったけどね」


「だから、あの時他の冒険者さんたちに頼もうって言ったのに、シリカが聞かないから」


シリカかがそうボヤくと、シルが非難の言葉を口にしシリカを睨んだ。

どうやら、シリカは暴走気味な衝突猛進少女で、シルはしっかり者、といったところだろう。

色々と正反対な2人だが、逆にそれがいいんだろう。


「取り敢えず、シル明日にでもギルドに行って冒険者しよっか」


「そうだね」


冒険者ギルド。確かにアニメやラノベでは冒険者に仕事を与える場所だったけ?そこでは、色んな依頼があって、それをこなせば収入を得ることができるはざだ。


「なぁ、良かったら俺もついて行っていいかな?」


「私はいいよ。シルは?」


「私も別に大丈夫だよ、一緒に行こう」


2人に一緒に行っていいかと聞くと、快く承諾してくれた。ギルドで冒険者登録すれば今後色々と有利になるだろう。

その日はこれで2人と別れ自分の部屋に戻った。ベットに寝転がり今日あったことを思い浮かべていた。

死んで異世界に来て、人をモンスターから助け、ガラの悪そうな奴らから美少女たちを助け。本当に1日だけで色んなことがあったな。


明日はどんなことが俺を待っているんだろ?俺はそんなことを考え布団に潜り、静かに目を閉じた。

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