おとなになると忘れがちな物語の基本形、それは再び現れあなたを連れていく

“〜たのだ”という語尾がまるで唄い上げるかのような印象を抱かせる、シャーマンの語る動物と精霊たちの物語のように。
流転する運びは書かれた物語というよりも、ヒトの口で即興的に語られる物語のような原初的な性質を思わせ、妹や弟に思いつきで語っていたり1人空想していた頃の自由さ、懐かしさにあなたは再び対面する事となるだろう。

変転して次々と惑わすように展開され続ける話は超現実的で夢幻じみていながら素材としての現実が透けて立ち現れ、それらがどう解釈するのか試すかの如くこちらを見ている錯覚に陥る。
完全に現実から切り離された訳ではない構造がフィクションを楽しむ頭の片隅で、なにか言いたげに静かな目線を送っていたのだ。

私は読んだことのないジャンルなので軽々に紐付けるのは誤解や間違いがあるかもしれない(というかその可能性が高い)がマジックリアリスムとの関連もある……?