第91話 いっぱーつ
正解を言えばチップというのはなかった。いくら高級ホテルに見えてもここは異世界。チップという制度はないらしい。
分からないなら聞けばいい。とお金を出してチップは……と言ったが首を傾げられてしまった。
どうやら別途でお金を払うシステムはないらしい。
うん。良かった。元日本人としてチップってよく分からないシステムなんだよね。10%だと安すぎる?15%だと払い過ぎなような気が……。
美味しくご飯を食べても、チップで悩んでなんだか気持ちよく終われないのは貧乏性なのか小心者なのか……。
「ふー。疲れたね。ポシル」
備え付けの大きなベッドに腰掛けると、さすが高級宿。心地よい反発だ。
「マスター。お疲れ様です。完全回復薬飲みますか?」
あぁ……。一本いっとく?みたいなノリで伝説級のポーションが出てくるのはどうなんだろう。
これ売れば豪邸が建つと思うだよね。それこそ宮殿くらいの。
「ありがと。うん。うまいっ!」
最近ポシル印の回復薬は味の追求も完璧だ。シュワシュワと細かい泡が立ち昇る黄金色の液体はまさにオロ○ミンCだ。これ僕が唯一美味しく飲める炭酸飲料なんだよね。
「元気でました?」
「おかげさまで。お決まりのセリフは言わないけどね」
「?」
「ううん。なんでもない」
前々から不思議に思ってるだが、ポシルの知識はどこから来てるのだろうか。
僕の好みの味を知っているかと思えば、記憶に刻み込まれた定番を知らないことが多い。
ポシル7不思議の1つだ。まあまだ7個もないのだが。
「さてやっとゆっくり出来たし、恒例のステータスチェックでもするかね。ステータス」
【Name】 タカヤ
【age】 18歳
【職業】 (1.魔術師・暗殺者(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い
【Lv】 24
【HP】 490/490
【MP】 4120/4120
【力】 180
【体力】 155
【器用】 180
【知力】 145
【素早さ】245
【魔力】 345
【スキル】
ノーマルスキル
剣術<Lv6> 斧術<Lv1> 棍術<Lv1> 弓術<Lv2> 格闘<Lv2> 盾術<Lv3> 槍術<Lv1>
気配察知<Lv6> 気配遮断<Lv4> 採取<Lv4> 回避<Lv5> 投擲<Lv2> 暗殺<Lv1>
身体強化<Lv4> 魔力操作<Lv4> 魔力感知<Lv2> 魔力還元<Lv3>
全属性魔法<Lv4> 解体<Lv2> 罠回避<Lv2>
モンスターテイム<Lv3>
麻痺耐性<Lv4> 打撃耐性<Lv3> 斬撃耐性<Lv2> 威圧<Lv3> 豪腕<Lv2> 統率<Lv3> 連携<Lv3>
オリジナルスライム♯定着
【Name】ポシル
【age】0
【Lv】16
【HP】 1888/1888
【MP】 1425/1425
【力】 451
【体力】 346
【器用】 304
【知力】 241
【素早さ】252
【魔力】 299
【スキル】
ユニークスキル
吸収
迷彩化
ノーマルスキル
分裂体<Lv5> 魔力操作<Lv3> 魔力感知<Lv3> 衝撃耐性<Lv4> 全属性耐性<Lv2> 硬化<Lv4> 採取<Lv3>
薬生成<Lv5> 念話・念映<Lv3>回避<Lv3>心眼<Lv3>
毒耐性<Lv1> 麻痺耐性<Lv1> 盲目耐性<Lv1> 睡眠耐性<Lv1> 混乱耐性<Lv1>
ポシルはさすがの耐性の多さだ。
アーグラとイーグラのおかげで2人共、いくつかのスキルレベルが上がった。
護衛依頼といっても、ほとんど他の冒険者が討伐していた関係でレベルは上がらなかったが、スキルレベルがアップしたのは素直に有難いな。
「明日、講義が無事終わったら討伐依頼でも積極的に受けてみようか」
「マスターと一緒ならどこでもいいです」
可愛いやつだ。でも最近レベル上がってないのも事実だし、本気で討伐依頼でも探してみるかな。
コンコン
しばらくポシルと戯れていると、ドアがノックされる。
ここ『一番亭』では食事をルームサービスで取るか。食堂で取るかを選ぶことができる。
ほとんどの客は部屋で取るらしいが、パーティなどを組んでいる冒険者は食堂に行くことが多いようだ。
部屋に案内されたときに指定した時間通りに、食事が運ばれる。
王都に来て初めてのまともな食事だ。
「こちらオークジェネラルのヒレステーキ シータートルのスープ 白パンは足りないようでしたらこの呼び鈴を鳴らしてください。廊下で振っていただければすぐに、おかわりをお持ちします」
さすがにこの辺は機械文明を懐かしく感じる。
呼び鈴は1つ1つ音色が違うらしく。鳴らせば廊下にある伝声管のようなものから音色が伝わり、どこの部屋かすぐにわかるらしい。
オークジェネラルにシータートル。クイートの街では耳にしなかった高級食材がテーブルに並ぶ。
そしてポシルにも綺麗に盛り付けられた料理が用意されていた。
「「いただきます」」
ナイフとフォークでステーキを切り分け、口に運ぶ。
うん。美味しい。たしかに美味しいステーキだ。豚肉のような旨味に、噛むほどに溢れ出る肉汁。そして驚くほど澄んだ透明のスープを口に運ぶと、濃厚な出汁の味が口いっぱいに広がる。
うまい。
本当にうまい。
けど……
「普通だ」
“普通に“美味しい。
コックスさんの料理がもう恋しい。
食べた瞬間。体全体が喜びに満たされるような感覚。
あの料理は中毒性があるのだろうか。
そんな事を考えながら、明日からの予定を頭に浮かべる。
そうだ。王都にきたんだし、神様達に無事ついた事を報告しなきゃ。
さて明日からは何しよう。
転移先では望みのままに〜神族を助け異世界へ 従魔と歩む異世界生活〜 荘助 @shousuke
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