第3話 〖魔導具〗

コンコンと音を鳴らす

「えっと、レーナ・チュラトスです、お風呂上がりました」

『入っていいぞ』


「あの、服とか洗濯したいんですけど…」

ギルドマスター『脱衣所に洗濯する魔導具置いてあるんだが、使い方知らなかったのか』

「ああ、あれが…」

確かに見た事あるような形ではあったけれどあれが洗濯機だったのか

って、魔導具って言った?!

やっばい!ラノベじゃん!本当に異世界じゃん!

『…い、おい、聞いてんのか』

「ああ、すみません!なんですか」

ギルドマスター『レーナは料理作ったことはあるか?』

「はい!あります!」


前世では、自分がご飯を作るのは当たり前だった

両親は共働きで家を空けることが多くて、姉はいたけれど姉は彼氏の家に入り浸っていたから。

ギルドマスター『洗濯機は使ったことねぇのに料理はしたことあるのか』

「ええ、はい、まぁ」

ギルドマスター『まぁいいけどよ、服持ってついてこい』


さっきいた風呂場まで行くと、すごい日本にあった洗濯機似の洗濯機に服を投げるかのように入れられた

「…ネットとかは」

ギルドマスター『ねっと?なんだそれは、あとはボタンを押すだけだ』

「なるほど」

ギルドマスター『すぐにできるから見てな』

ピッと、動き出した途端すぐに止まった

「…え?あの、今ので終わったんですか?」

ギルドマスター『ああ、魔導具で作られてるから一瞬だ』

まじの一瞬だわ、いつも30分くらい待たなきゃならなかったのに…

「えっと、乾かすところは…」

ギルドマスター『ああ、これは自分の部屋で干せ』

「ああ、はい」

ギルドマスター『魔法が使えたら風魔法で一瞬で乾くがな』

…魔法…べんり…


ギルドマスター『干し終わったらキッチンまで来い』

「わかりました」

本当に一瞬で汚れが取れてる…

ああ、でも柔軟剤がないから匂いないなあ

貸してくれた部屋に戻って服と下着とタオルを干した

一人部屋か…日本にいた頃6歳で一人部屋は持たせてくれなかったなあ…



少しぼーっとして、キッチンへと足を運ぶ

ギルドマスター『おっ、来たか』

「えっと、今から何をすれば」

ギルドマスター『食材は冷蔵庫と冷凍庫に割と入ってあるはずだからそこのを使え』

ギルドマスター『諸々の使い方わかるか?』

幸い日本で使っていたものとほぼ同じだ

「はい!大丈夫です!」

ギルドマスター『朝昼晩のご飯とここと風呂場の掃除俺のとレーナの服と受付のやつらの制服の洗濯だ』

ギルドマスター『洗濯干すところはレーナの部屋の左隣の部屋が干すところだ、乾いててもハンガーにそのままにしててくれて大丈夫だ』

「わかりました!」

ギルドマスター『料理はまぁ、食べられるものなら何でもいいわ』

この人、私の作る料理下手だと思ってるな…?


「それが終わったらどうしたらいいですか?」

ギルドマスター『街中フラフラしにいくのもいいし、部屋に戻って寝ててもいい、まぁ、それでご飯作り損ねんのはダメだがよ』

「終わったら自由にしていいってことですよね」

ギルドマスター『ああ』

「わかりました!さっそくご飯作りますね」



見慣れたものに囲まれながら何を作ろうか考えるのがすごく楽しかった

昼だけど少し重めでもいいかな、すっごくお腹へってるんだもんね

食材を漁っているうちに、あの料理を作ろう、そう思った

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