アンチ和歌グルメ女
武蔵野台地は3万年も前から人が暮らし、様々な文化と歴史を重ね、自然と人間が共存してきた土地だ。
時代の移り変わりで、広大な野原は田んぼとなり、畑となり、広大な宅地となった一方で、四季の移り変わりを感じることが整備された緑を楽しむことができる森林公園。
狭山丘陵が残さたトトロの森では、今やなかなかお目にかかることができない、カタクリの花などの植物をはじめ、沢山の哺乳類、鳥類、昆虫たちを見ることができる。
俺が何を言いたいのかというと……武蔵野台地は写真の題材に事欠かないスポットということ。
なーのーにー……だ。
俺、
油を吸った包み紙。
その中に入っているのは黄金色で熱さが伝わるメンチカツのおいしそうな写真。
それに添えられた
『武蔵野の 月はみえぬが メンチある 愛しい味が 口に広げり』
という、美しい月をみて和歌を詠んだ人たちの歴史が台無しになるような和歌。
通称『和歌グルメ女』
ここ数か月前からヘンテコな和歌と共に、無駄に数々の食欲をそそる写真をUPするやつだ。
俺はコイツが気に入らない。
写真だけで勝負すればいいのに、ヘンテコな和歌を付け写真に興味ない層を引き込み賞賛の声をもらうのがどうしても許せない。
俺は、和歌グルメ女のアンチだ。
こんな面白枠がツイッターで幅を利かせるのが、本当に腹が立つ。
例えばだ、ギンリョウソウという白く美しい花を被写体にすべく必死に野山を駆け回り、角度を考え選りすぐりのレンズで写真を撮り。
さらに、見やすいように加工をし、ツイッターにアップした時。
俺の写真についた『いいね』は3。
ところがだ、和歌グルメ女はどうだ。
駅から徒歩5分のラーメン屋の職人が盛り付けなど完璧に考え、絶妙な半熟卵を添えたのをちゃらっと撮って。
いいね2800ってなんだよ。
足しげく 店に通うは 何のため 添えられた きみのためかな
写真ですぐにどこの店かわかったよ。
確かに連日男ばっかり並んでるよ。
ただ、卵の黄身と君をかけた恋の歌ぽいのなんなんだよ。
糞糞糞。
写真だけで勝負しろよ。
どうしていらん要素+するんだよ。
なんで、うまそうに写真とるんだよ……
そう思いながらも、俺の足は和歌グルメ女のあげたグルメを求めて歩き出した。
それが一番、あぁ……気に入らない。
和歌グルメ女 四宮あか @xoxo817
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