絆創膏

 あったら便利だよねと呼ばれる品物を、俺はカバンに常備している。ウエットティッシュ、裁縫セット、虫除けスプレー、割り箸などなど。

 だから、彼女が靴擦れをしても、すぐに絆創膏を渡せた。


「ごめんね、だいちゃん。私が下駄で来るから。履きなれた靴にすればよかったよね」

「気にすんな。せっかく浴衣を着るなら、サンダルより下駄を選びたいもんな」

「だいちゃん……! ありがとう」


 俺としては絆創膏の出番が来て嬉しい。元カノには心配しすぎてウザいと言われていた。


 至れり尽くせりな彼氏を、今の彼女はいつまで許してくれるかな。一ヶ月、三ヶ月、半年以内、一年以内、一年半。過去の記録を超えてほしい。

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銀のヤドリギ 羽間慧 @hazamakei

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