六月二日


 今朝見た夢。

 大学にて、外部資金の予算配分がなされる現場を見ている。

 が、妙に部屋の内装が古めかしい。白い漆喰壁に、チュウリップが四つ咲いたかたちの簡素な照明、窓枠や扉は木製で、チョコレイト色に光っている。昭和初期あたりの、街役場か商會のようなあんばいである。

 着物の女性が、書類の山に囲まれて算盤をはじいている。髷姿に白いなつ、柄ゆきは青い縦縞のすっきりとした衣。帯もすがすがしい藍染。

 書類まみれだが、髪ふり乱して、というのではなく、しずしずと業務をしている。竹久夢二の『黒船屋』で、猫を抱いている女に似ている。うなじにこぼれる後れ毛がなまめかしい。

 男性たちは白い開襟に、黒や焦茶の幅広ズボン、サスペンダァに丸めがね。髪は七三分けが多い。

 報告書のような冊子を丸めて口角泡を飛ばす者、書類を抱え、せわしなく部屋を出入りする者。どこかでタイプライタァをうつカタカタという音や、レジスタァのチーンという音がして、白いレシイトの帯がとめどなくあふれてくる。

 さい、殺と叫ぶ声は「相殺」の意味らしい。そうしてざわざわと仕事は進む。それをドラマの一場面のように、ただぼんやりと眺めている。


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