六月二十五日


 今朝見た夢。

 某実話系オカルト作家の著書を読んでいる。その書の中で、作家自身が以前書いた本にまつわる怪談を語っている。

 作家が自宅で起こった怪異について書いたところ、その後、読者から「先生の家の間取りが細部まで映像でくっきりと見えた」「先生の家を夢に見た」といった感想がいくつも届いたという。そのうえ、どの読者も判で押したように同じ間取りを挙げてくる。

 が、読者が見たという間取りは、実際の作家宅には存在しない。読者はみな、誰の家を映像に見たのだろう、という落ちである。

 その作家の語り口が恐怖ではなく、うっすらと艶やかに笑むようなものだったのでぞくぞくした。怖さではなく、快い興奮から来るぞくぞくである。そうして快感を噛みしめているうちに目が覚めた。

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