素麺食べるだけの話

神城ハクア

素麺を食べる

これはただの男がただ素麺を食べるだけの話です。




素麺とは、夏を物語るのには欠かせない一品。

速い・美味い・冷たい3拍子揃った料理。

更につゆも工夫次第で無限の味を創造する事ができる魅惑の逸品。


この男もそんな魅力に取り憑かれた。



ジャーー…ピチャ、ピチャ。

水道から勢いよくザルに落ちる。

さっと茹でた麺が氷水の中で静かに踊る。


俺は流し素麺なんていう邪道な食べ方はしない。決して一緒にやってくれる人がいないとかではない。断じて違うぞ。


では早速、お椀にめんつゆと葱、生姜を入れて一思いに麺を掬う。

豪快にお椀に入れて麺を啜る。


ジュルジュルジュルジジッュ


美味い。透き通る清涼感のある味、噛むことすらも気にもとめられない程に喉を通る。

そして気付かないうちに箸が止まらなくなっている。



美食家たちは本物の美食とは食べていることすら気にならないほど手が進み、気付いたらなくなっていると言う。

つまり素麺は本物の美食の一片なのだろう。





それでは俺は食器の片付けをするからここで終わりだ。


じゃーな…。


今年の夏は素麺を食えよ……







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

素麺食べるだけの話 神城ハクア @haiime

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る