003 襲撃者の正体Ⅱ
筑頭会はあくまで下部組織である。上部組織は、
三年前、S.M.A.R.T日本本部(JSA)は九頭会への潜入捜査を実行した。潜入した捜査官は六人。その中に
現在も九頭会は未知であり、S.M.A.R.Tや警察にとっては大きな悩みの種となっていた。一般的には、筑頭会は知っていても九頭会は知らないものがほとんどだ。何故なら全貌が何も掴めてないからだ。しかも表沙汰に行動していないため、ニュースや新聞に取り上げられることはない。
潜入してようやく入手した情報は『九頭会』という名前だけだった。
せっかく潜入に成功しても連絡が途絶えた捜査官は数知れず。連絡が途絶えた潜入捜査官は『死んだ』ことになっている。基肄の姉、基肄乃亜は潜入捜査官のなかで最後の最後まで連絡を取っていた。しかし『死んだ』扱いされている他の潜入捜査官と違い基肄乃亜の死は証明されている。何故なら、遺体が発見されているのだ。
徳島県の山中に遺体はあった。背中に銃撃のあと。出血多量死だった。
『ごめん、思い出させちゃった』
基肄の電話の相手である
「いえいえ、大丈夫っすよ……大丈夫」
『……』
真夜は基肄にどう言葉をかけたらいいか困惑していた。
***
一方その頃、福岡支局の医務室では
「そもそも何故、倉庫街に行ってたんですか?」
「……」
箱崎は即答を避けた。
「ある男に会いに行っていたんです。」
「誰ですか?」
「警察時代の同僚、
「待ち合わせ場所が倉庫街だったんですか?」
「ええ、ある情報を教えてくれたんです。」
「なんです?その情報とは?」
「魂についてです」
はい?、思わず和多田朝華は口に出した。
「精神論とか宗教の話だったんですか?」
「いえ、そうじゃありません。『魂』というのは情報媒体のことです。」
「USBみたいな?」
「ええ、そんなものです。」
箱崎は、元同僚である渡邊通との会話を詳細に話した。
「その『魂』っていうものは、私も聞いたことがありませんね。情報関連だったら私の担当分野ですが……すみません。私がS.M.A.R.Tのデータベースで調べましょうか?」
「いえ、自分で調べますよ。」
「分かりました」
S.M.A.R.Tのデータベース。通称:ジェネシス(genesis)はS.M.A.R.Tの総本部(ニューヨーク本部)が管理・統括している。世界中のあらゆるデータがジェネシスに保管されている。ジェネシスのデータは一般的なもの(例えば、国語辞典の用語など)から国家最高機密まで保管している。そのため、閲覧には、権限レベルがある一定の以上必要である。権限レベルは1から10まであり、
レベル9〜10:高等特別捜査官(高特)
レベル8特別捜査官(特官)
レベル7:准特別捜査官(准特)
レベル6:上等捜査官
レベル4〜5:一等捜査官
レベル2〜3:二等捜査官
レベル1:三等捜査官
というようになっている。(用語紹介②より)
箱崎は和多田朝華の事情聴取があった後、S.M.A.R.T福岡支局の情報閲覧室を訪れた。
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