第2話 sacrifice(生贄)

女黒騎士と耽美なるパラノイア

猿芝居かめ

第2章 sacrifice(生贄)


俺の名前は代田史牢(シロタ シロウ) 14歳。

ただの平凡で冴えない無趣味な男である。


学校の廊下を当たり前に歩いているところ突然、

魔方陣で召喚され体の自由を奪われる。


理由もわからず、

恐怖していたところ

真っ黒で厳(いか)つい鎧を着けた黒髪銀眼の爆乳女騎士に尊厳(そんげん)を奪われる事に。


――――――――― ― -


まさか、

こんな事になるなんて。


「アァ......」


俺、たぶん帰れないんだろうな。



ポカンと成すがままになっていると、また女は“ロウシ“と別の奴の名で呼び掛けてくる。


『案ずるな、大丈夫だ。』


《チュッ》


「!!!――――」


「な、何を、す、する......」


――――――声にならない。信じられない。

嫌悪感が一気に体中から沸き上がる。


女は、あろうことか俺が失禁した部分の布越しに頬を寄せて優しく口付けた。


嫌だ。気持ち悪い。気持ち悪い。―――――――――‐―

そして、はち切れそうな

この感情は、怒りだ。



「グッ...やめろ!!!」

感情が押さえきれず怒鳴りつける。


すると、奴は俯(うつむ)きがちに答えた。



『分からないのか?

私はロウシの全てを愛しているのだ。

それが、例え汚物に成り代わろうとも新しいロウシだとしてもだ。』


「なっ.....」


シ―――――――――――ン


静寂が再び訪れ2人を包んだ。

奴は、『フン』と つまらなそうに話し出した。


『怖がるな。ただ、証明をしたかっただけだ、お前は私を知らないからな。』


「....え?」


意味が分からない。

だが、――――――

さっき人違いと伝えた事を理解はしている様子だよな?


けど、奴は俺を“新しいロウシ”と言ってたし......


一人だけ いやに 分かった様な口ぶりや異常な行為。

って事は・・・

この事態は、アイツが元凶だってことだよな。


「...........................教えろよ」


俺は怒りと恐怖が入り交じった声で続ける。


奴は平然と何事もないかの様に薄い唇を開く。



『何を知りたい?』



ハァ!?舐めんなよ!

俺の体が動けば、 只(ただ)じゃ置かないからな。



「何もかもだよ!!どうなってんだよ!!全てを教えてくれよ!!!」


ッ..ハァハァ..........

どんどん息が荒くなる。

捲し立て怒鳴りつけた。


奴は寂しそうに俺の事を見つめて『そうか』と言いうと

俺を担(かつ)ぎ始める。


「アンタ、また!」


――フワっと甘い香りが強まり思わず押し黙る。


『だがな ここでは、お前の体に障るから私の小屋に行くぞ。』


これから、

どんな絶望が待っているんだろうとかも考えたが。

俺は、とにかく ここを離れられる事に取り合えず安堵していた。


   

次回へ続く

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