真夜中は純潔

夜ごと女を変えるような乱れた生活を送る藤沢トモヤが、ラブホテルで出会ったのは大正時代に心中事件を起こした女の幽霊だった。
トモヤは「純潔」のまま死んだ女に、心惹かれていく。
女は言った。
「私、死んでみて分かったの。いえ、もしかしたら生きている時から知っていたかもしれないわ。精神的な恋愛は確かに清らかで純粋で、崇高かもしれない。でも、精神だけの恋は絵に描いた餅みたいなものだわ。触れることもできやしない。確かなものなんて何もない。だから何も生み出さず、何も残さない」

セックス描写を意識した、小説宝石新人賞一次選考通過作品。
※今から10年ほど前の作品です。