第10話 る

 翌日、彼女は迎えに来なかった。約束の3日間が終わったからだろう。


 寂しい気持ちを抱えながら、僕は1人で学校へと向かった。


 教室に入ってすぐ、僕は彼女の姿を見つけることが出来た。


 いつも隅にいるはずの彼女が、教室の真ん中にいたのだ。



 ……みんなの頭よりも彼女の足が上にある状態で。



 後で聞いた話だが、彼女のお腹には3ヶ月の赤ちゃんがいたらしい。


 それを聞いてすぐにわかった。


 彼女は僕に……いや、自分を孕ませた男の息子に復讐しようとしたのだと。




 あの日から10年。同窓会で会ったクラスメイトの中で僕だけが彼女の名前を覚えていた。


 彼女の名前は『ゆり』。


 あの日、彼女の机に飾られた花と同じ名前だ。

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彼女は一輪の花になる プル・メープル @PURUMEPURU

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