最終話 別府駅→大分駅
列車は、日本最大規模の温泉都市、別府市の中心駅であり、大分県下初の高架駅でもある別府駅を発車する。しばらくは別府市街を高架で進み、高架を降りると東別府駅である。昔からの木造駅舎がいい感じの雰囲気を醸し出している駅だ。
東別府を過ぎると、次の西大分までの下り線は、特急ソニックのハイライトともいえる、別大国道(国道10号線)との並走区間に入る。石丸謙二郎さんによる大分観光ナレーションが流れるのもこの区間。因みに、放送は数種類あるので、どれが流れるかは乗った時のお楽しみ。私は結構高崎山の放送をよく聴くかな?途中に水族館「うみたまご」も見えるこの区間は、別大マラソンでもおなじみの絶景区間。ただし、上り線はトンネルを何度か抜けるので大した絶景は見られない。
今更ではあるが、特急ソニックには883系と885系という2種類の車両が使用されている。時刻表などで「青いソニック」と表記されるているのが883系、「白いソニック」と表記されているのが885系である。883系は座席のヘッドレストが某キャラクターに見える一方で、885系は革張りの座席で高級感を演出している(革張りを好まない客も多く、一部はモケットに交換されている)。どちらも制御式振り子機構を搭載し、急曲線でも速度を極端に落とすことなく高速で通過できる。そのため、従来車(国鉄から継承した485系等)に比べて大幅な時間短縮を実現している。なお、885系は元々日豊線よりも条件の厳しい急曲線区間が多数点在する長崎本線特急「かもめ」用に設計されたグループなので、883系よりも加減速性能に優れているのが特徴。883系は7両編成8本全てが大分鉄道事業部大分車両センター(分オイ)に配置されており、営業開始から基本的に「ソニック(当初はソニックにちりんとして運転)」での限定運用である。885系は6両編成11本全てが九州最大の車両基地でもある南福岡車両区に配置されており、こちらも「かもめ」「ソニック」のみに使用されている。
さて、別府湾の絶景を見ながら別大国道と並走を続ける。高崎山を抜け、ビル群が見え始めると大分市街に差し掛かる。複数の留置線と貨物が見えれば、JR貨物の拠点駅でもある西大分駅を通過する。西大分駅には大分駅に4つある隣駅で唯一、立派な木造駅舎があるが、これはJR貨物の所有。JR九州の西大分駅舎は、なんとホーム上にあるプレハブの建物。なので、あの立派な駅舎内で切符の購入はできない。
さて、西大分を通過した列車は、住宅地の合間を縫うように走り、やがて高架線を走る。複数の列車が留置されているのが見えると、列車はいよいよ、終点大分に到着する。
大分県及び大分市の代表駅である大分駅は、JR九州管内で4番目に乗車人員が多い重要な駅。運賃収入も上位10位圏内に入る。長らく地上駅であり、市民は踏切での渋滞に悩まされていたが、2012年に念願の高架化(立体交差事業)が完了し、2016年には駅ビル「JRおおいたシティ」も開業した。周辺の雰囲気も一気に変わり、より都会らしさが出てきた。大分車両センターには多種多様な形式が配置されているだけに、発着する車両がバラエティに富んでいて、ホーム上に一日居座っていても飽きない。面白いところでいくと、大分駅に乗り入れる3路線4方向の最終列車の発車時刻が統一されている。2020年3月改正時点での発車時刻は23時40分であり、日豊本線別府方面は中山香行き、日豊本線鶴崎方面は臼杵行き、豊肥本線敷戸方面は三重町行き、久大本線南大分方面は庄内行きとなっている。このうち、久大本線庄内行きのみ、終着駅到着後大分駅まで回送されてくる。
本日は、大分行き、特急ソニックをご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物なさいませぬよう、今一度、お手荷物をご確認くださいませ。日豊本線臼杵・佐伯・宮崎方面、久大本線由布院方面、豊肥本線三重町・豊後竹田方面をご利用の方はお乗り換えとなります。駅の案内放送に十分ご注意ください。またのご利用をお待ちしております。
特急ソニック~201.1kmの旅~ エルムのツッコミ担当 @sonic-yukuhashi
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