第8話 杵築駅→別府駅

 杵築駅を出ると、日豊本線は再び単線となり、列車は右に進路を取る。駅を出た直後に有名な撮影ポイントでもある八坂川橋梁を渡る。同橋梁で撮られた写真を見返してみると、どうやら大神寄りでの撮影がよさそうである。橋梁を渡ると再び山間部を走行するようになり、途中で大神駅を通過する。速達タイプの一部は大神駅で列車交換するものがある。大神駅は周辺に日出総合高校があるため通学需要が高く、大分方面からの折り返し列車が数本設定されている。


 日出駅付近まで来ると、辺りはすっかり大分市のベッドタウンの様相を見せてくる。なお、日豊本線は日出駅から大分まで再び複線区間となる。日出駅は1面2線でホーム上に駅舎があり、駅舎には地下通路で連絡している。なお、町名を名乗るものの、町中心部には隣の暘谷駅の方が近い。


 日出駅を出ると日出市街となり、間もなく暘谷駅を通過する。日出町の要望などから民営化直後に新設された駅であるが、町中心部に位置するため比較的乗降客数も多く、半数の特急が停車する杵築駅、宇佐駅、柳ヶ浦駅よりも利用者は多い。2016年に改築された駅舎には、日出町にある大分ハーモニーランドにちなみ、ハローキティなどのサンリオキャラクターが描かれている。


 暘谷駅を過ぎ、しばらくすると国道10号との並走区間となり、豊後豊岡駅付近は上下線ともオーシャンビューが多少望める区間となる。豊後豊岡駅は無人化後の2016年、日出駅の簡易委託化に合わせて駅員配置が再開されている。


 豊後豊岡駅と亀川駅間は複数のトンネルを抜ける。亀川駅は、別府市郊外の亀川温泉の玄関駅で、特急ソニックも2~3時間に1本程度停車するほか、朝と夕方以降に大分方面への折り返し列車が複数設定されている。2010年に現在の橋上駅舎に改築される前は、開業時からの立派な木造駅舎が建っていた。また、徒歩での移動は避けたいが、立命館アジア太平洋大学や別府湾SAにも近い。


 亀川を出ると別府市街となるが、やや内地を走るため別府湾は望めない。別府大学駅は名の通り別府大学の最寄り駅であり、大学までは商店街が軒を連ねる。駅舎は別府国際交流会館との合築であり、旧駅舎は豊肥線滝尾駅に移築されて使用されていた。鉄輪温泉も距離的には近いが、2キロ以上離れているので最寄り駅としてはお勧めできないので、大人しく別府駅からのバス利用を推奨したい。


 別府大学駅を過ぎれば、辺りはすっかり別府市街である。しばらくすると高架区間となり、日本最大の温泉都市、別府市の代表駅である別府駅に到着する。特急を含むすべての列車が停車し、「ゆふ」「ゆふいんの森」「九州横断特急」「あそぼーい!」などの特急列車が別府発着で運転されている。駅のアナウンスは独自のものであり、耳に残りやすい。駅舎は1966年に大分県初の高架駅として改築され、幾度の改装を経て現在の姿となっている。駅前に亀の井ホテルの創業者でもあり、別府観光の父と称される油屋熊八の銅像があるが、この銅像に対し特に気を留める人など皆無だろう(笑)


 別府でお降りのお客様、日本最大の温泉都市で至福の一時をご堪能下さいませ。なお、お降りの際は、お忘れ物なさいませぬよう、今一度お手荷物をご確認ください。

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