第7話 中津駅→杵築駅間

 中津を出た列車は南下を続け、高架を降りると田園風景の中を走行するようになり、住宅があまり見られなくなる。次の駅、東中津は元々大貞駅と称していたが、戦後現在の駅名に改称された。大正時代に建築された、趣のある木造駅舎が残っている。


 東中津を通過した後も、特に変哲のない田園風景の中を進む。途中で中津日田道路の高架を潜る。この道路はダイハツ工業のために建設されているとも言われているが、あくまで噂の域である。住宅が密集してくると今津駅を通過する。ファンキー加藤が主演を務めた映画、「サブイボマスク」のロケ地となった商店街の最寄り駅。ちなみに、映画の公開前後から中津駅では期間限定で劇中歌「春雄の歌」を列車到着時に流していたが、ファンキー加藤の不祥事?により、同作の劇中歌を流していることに対し、断りのアナウンスが流されていた。


 今津駅を出ても変わることなく、田園風景の中を走行し、駅周辺で住宅が増えるという状況を繰り返す。続く天津駅付近は、昭和の大横綱こと第35代横綱双葉山の出生地であり、記念碑も建てられている。余談だが、ここまで4駅連続で〇津という駅が続いている。まあ、単なる偶然なのだろうが(笑)


 お次の豊前善光寺付近もこれまで同様駅周辺に住宅が点在している状況。駅名の由来は日本三大善光寺の一つ、豊前善光寺から。善光寺だからと言って、決して長野の善光寺を連想してはいけない。


 続く柳ヶ浦駅は、国鉄時代に併設されていた機関区跡を利用して多数の夜間停泊運用が設定されているため、特に夕方から夜間にかけて小倉発の列車で聞くことが多い行き先。ちなみに、2018年3月改正までは柳ヶ浦駅4時17分発門司港駅行きが日本一早い始発列車であった(現在は行橋駅始発に短縮)。また、この改正までは博多―柳ヶ浦間の特急も1往復のみ設定されていた。国道10号沿いに市街地を形成する宇佐市の代表駅とされる宇佐駅より1本のみだが特急の停車本数が多く、宇佐駅よりは近隣に住宅も点在している。


 続く豊前長洲駅周辺も市街地を形成しているが、宇佐市の中心市街地を形成する国道10号には遠い。市街地へのアクセスもイマイチである。ただ、周辺は柳ヶ浦より栄えている気もしなくはない。単に住宅が多いだけかもしれないが。


 列車は豊前長洲駅付近から大きく右に進路を取る。そして、宇佐市の中心部を通ってきた国道10号が右手に合流すると、間もなく宇佐駅である。全国の八幡宮の総本社である宇佐神宮の最寄り駅かつ宇佐市の代表駅である。ただし、宇佐神宮にも宇佐市街にも徒歩で行くには無謀な場所。徒歩だと1時間は余裕で掛かるので、無難なタクシーを使いましょう。柳ヶ浦駅で少しふれたとおり、市の代表駅なのに特急の停車本数が柳ヶ浦駅より少ない。また、乗車人員も柳ヶ浦の方が多い。宇佐神宮へ行くバスもあるが、隣接する豊後高田市へのバスも多く、同市の玄関駅となっている節もある。


 宇佐駅を出ると、本格的に山越えへと入る。と言っても、隣の西屋敷駅まではしばらく田園風景の中を国道10号と並走するだけであり、これっといった変化もない。田園地帯の中にある西屋敷駅は複雑な構造をしており、上り線は駅舎代わりの待合所から直結しているが、下り線は少し離れた場所にある地下通路を通じて連絡するので、非常にわかりにくい。当然ながら無人駅なので、初めて訪れる場合は要注意。


 続く立石駅との間で立石峠を超える。この峠越え対策で柳ヶ浦に機関区が設けられており、この跡地が現在夜間停泊に活用されている。下りは快適な新立石トンネルを通るが、上り線は過酷?な旧線を延々と走行する。合流地点の立石駅は、以前は2面4線を有する大きな駅であったが、現在は2面2線のみの小さな駅となっており、駅長室や乗務員詰所も整備されていたコンクリート造りの駅舎が当時の栄光を偲ばせる程度である。ただ、駅周辺はそれなりに集落があり、小学校もある。


 日豊本線は小倉~大分間の大半が複線化されているが、二ヶ所単線で残されている。うち一ヶ所が、立石駅~中山香駅間である。山間部を延々と走行するだけではあるが、特急が高頻度で運行されるだけに、ダイヤ上のネックとなっている部分は否めない。中山香駅周辺は杵築市と合併した旧中山香町の中心部であり、それなりに設備が整っており、町らしい雰囲気を出している。大分方面からの区間列車が数本設定されており、大分駅の日豊本線上り最終列車も中山香行きである。


 中山香駅を出ると、次の杵築駅まで再び複線に戻る。この間も中山香市街を抜ければ再び山間部を延々と走行するだけであり、途中で上下線が分かれる区間もある。山間部を抜け、大分空港道路の高架下を潜ると、列車は間もなく杵築駅に到着する。城下町、杵築市の中心駅であるが、宇佐市と同様杵築の市街地からは大きく外れた立地である。しかし、杵築市街へはバスが連絡しており、アクセス面ではそこまで問題になっていない。ちなみに、かつて杵築市街へは杵築駅から大分交通国東線が連絡していたが、モータリゼーションの影響で1966年に廃止された。惜しくも、大分空港の現在地への移転が正式決定する一ヶ月前の事であった。余談だが、大分ハーモニーランド自体は隣の日出町にあるものの、当駅からも路線バス利用でアクセスしている。


 杵築でお降りのお客様、杵築城など市街地方面及びハーモニーランドへお越しの場合はバス乗換となりますので十分ご注意ください。

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