第6話 行橋駅→中津駅

 行橋を出ると、行橋市街を高架で抜ける。河童伝説が残る今川を渡ると左にカーブし、右にカーブする平成筑豊鉄道田川線と別れる。国道496号と交差する踏切を過ぎると、間もなく南行橋駅を通過する。1988年に新設された駅だが、徒歩圏内に県立高校が2校立地するため、学生の利用も多い。


 南行橋駅を過ぎると、のどかな田園風景の中を走るようになる。椎田道路の高架下を抜けると、再び住宅が多くなり、間もなく新田原駅を通過する。駅周辺は県内有数の果物の産地であり、イチジクが有名である。また、付近に新行橋病院や稲童工業団地があり、市が企業誘致を盛んに行っているエリアである。近隣に航空自衛隊築城基地(正門は築城駅が最寄り)があることもあり、同じ字面の航空自衛隊新田原基地と混同されやすいが、こちらは宮崎県にあるので一切関係ない(新田原基地の最寄りは日向新富駅)。普通列車しか停車しないが、みどりの窓口もある。また、小倉駅―新田原駅間の区間列車も地味に多い。


 新田原を過ぎると、隣の築城駅間の区間はやたらカーブが多くなる。複線電化の際、架線が航空機の離着陸の障害となるため、航空法に基づき迂回したためである。この区間にはよく撮り鉄が訪れる名所がある。列車は右手に築城基地を望みながら築城駅を通過する。航空自衛隊築城基地の最寄り駅であり、上り1本のみとなってしまった快速の停車駅の一つである。航空祭の日は普通列車が増発され、特急列車も臨時停車する。ちなみに、築城駅舎は国道とは反対側にあるため、駅周辺の発展を阻害していると言わることがある。


 築城駅を通過すると、田園風景の中を進む。左手で国道10号が並走しており、ルミエールやナフコなども点在する。再び住宅街が近くなると椎田駅を通過する。椎田駅は県立築上西高校の最寄り駅。また、築上町役場が旧椎田町役場に置かれていることから、築上町の中心駅とされることもある。快速の停車駅の一つであり、以前はこの駅で折り返す列車も設定されていた(現在は折り返し運転はできない)。


 椎田駅を通過すると、住宅街も次第に田園風景へと変わり、県道58号の高架を潜る。国道10号と並走した後交差すると、間もなく豊前松江駅を通過する。小倉基準でみると、日豊本線最初の終日駅員無配置駅。古い駅舎が残されており、周防灘にも近い立地である。豊前自動車学校や道の駅豊前おこしかけにも近い。


 豊前松江を過ぎると、豊前海を一望できる。が、すぐに豊前市体育館などに邪魔されるので、眺望できるのは10秒程度とみていた方がいい。次第に豊前市街に入り、列車は宇島駅に到着する。半数程度の特急が停車する豊前市の代表駅であるが、2019年に日中と早朝深夜帯の無人化が行われた。当該時間以外は委託駅員が常駐し、みどりの窓口も営業するので、完全な無人化ではないが、豊前市などは特急通過に繋がるとして、無人化の撤回を要求している。豊前市と言えば、宇島市として市制施行するも一部の反発により僅か4日で現在の豊前市に改称したり、平成の大合併の際に県が勧告した吉富町との合併に失敗するなど、ネタになるエピソードが多い。ちなみに、知名度の低さを気にしたのか、「ここは豊前市、宇島駅です」という横断幕を掲示していた時期があった。


 宇島駅を過ぎると、右側で国道10号と並走しながら、南下を続ける。豊前市街を抜けると再び田園風景の中を走行し、まとまった住宅が見えると三毛門駅を通過する。無人駅であるが駅舎が残っている。ただし、旧事務室部分は駐車場の管理室となり、消防団の倉庫まで併設している。また、駅前にロータリーが整備されており、市バスが乗り入れている。


 三毛門駅を出ると、列車は吉富町に入る。しばらく田園地帯をかけぬくが、建設途中の高架下を潜ると吉富町の中心部となり、間もなくして吉富駅を通過する。1995年に開業したばかりの新駅であり、当初は駅員が配置されたものの、現在は無人駅となっている。当初は民営化直後に新設予定であったものの、町議会の反対などもあり、1995年に引き延ばされた。駅舎の費用は田辺三菱製薬(旧・吉富製薬)が寄付しており、駅舎内に町の施設(ふるさとセンター)が入居している。


 吉富駅を通過すると、間もなく列車は県境の山国川を渡って大分県に入る。そのまま住宅街の中を高架線で抜けると、大分県第三の都市かつ中津藩奥平家のお膝元である中津市の中心駅、中津駅に到着する。かつては大分交通耶馬渓線と接続していたが、駅高架時に費用が負担できずにあっさりと廃線になった。国鉄時代から特急が停車する運転系統上重要な駅で、普通列車はこの駅で系統が分割され、早朝深夜帯には中津発着の特急「ソニック」が博多・大分方面に1往復ずつ設定されている。また、(今は上り1本のみだが)日豊本線の快速は、中津以南は各駅に停車する。駅の構内には斜めに動くエレベーターや、日本一長いハモの椅子など、ユニークなものが多い。以前は列車到着時に何とも言えないおばちゃん声の放送が流されていたが、現在は主要駅標準型の自動放送に変更されている。


 中津でお降りのお客様、中津城や青の洞門など、市内には名所が多数ございますので、ごゆっくりお楽しみください。

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