ようやくお目覚めざめになられましたか我が君よ」



地獄じごく閻魔えんまにしては様子ようすが変だ?


実は地獄の閻魔えんまは人間の罪をさばく王ではなく、

人間の手下なのか?



「まずは説明してもらおうか。

 ここは?」



僕はわざとおざなりに挑発的ちょうはつてきに言ってみた。


からかってるなら、もううんざりだ。


さぁその仮面をはずせ。


だが予測よそくはんしてその異形いけいかしずいたまま、

静かにび始めた。



「まずは眠りをさまたげましたこと、

 おもうげます。


 ここは異世界。


 禁忌きんきの呪法により異世界より魔王様を

 およびいたしました事、あらためておびします」



異世界?



と言う事はこの鬼にとって、

僕は異世界の魔人と言う事なのか?


何故なぜかは分からないが、

ここでは僕の方が立場は上のようだ。


僕はさらに大仰おうぎょうしく説明を求めた。



「説明してもらおうか!」


「はっ!? 今この国は人間共の進攻により、

 滅亡の危機にひんしています。


 我々は人間の脅威きょういあらがうべく、

 恐れながらも魔王様を呼び起こす、

 禁忌きんきの呪法を使いました。


 あなた様はその呪法により目覚められた、

 第13代目魔王様にございます」



13代目?



随分ずいぶん多いんだな。



「魔王とはぼく・・・

  我の事か!?」


左様さようにございます。

 魔王様」


事情は良く分からないが、

僕は魔王に祭り上げられているようだ。



「もっとくわしく聞かせてもらおうか!」


出来るだけ尊大そんだいに魔王ぽく言う。


「はっ!

 現状は人間による魔族討伐軍とうばつぐんにより、


 我が国土は包囲され風前の灯火ともしびです。


 これを打開だかい出来るのはもはや、

 魔王様のお力だけ」



その魔王様は学校で一番力の弱い、

搾取さくしゅされるがわなんだがな。


だがその力をもとめられるのは悪くない。


たとえそれが、かりそめのものだとしても。


いやむしろ、

みとめられたようで気持ち良くさえある。

 

 

 

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