この主人公、めちゃくちゃダサくてカッコいい!

 主人公のタカトは、道具づくりの権蔵じいさんに拾われて、神様のビン子と共に三人で貧しいながらも家族のように暮らしていました。
 その生い立ちは壮絶で、復讐を心に秘めています。
 亡き母の「みんなを笑顔に」と言う遺言を胸に、どこまでも自己中な考えと、見えづらい思いやり精神の間をせわしなく行き来しながら、日々前向きに力強く生きていました。

 そんなタカトの頭の中は、ちょっとエッチな妄想が溢れていて、作る道具には奇妙なネーミングと奇妙な目的ばかり。でも、ことごとく本人の目的とは別の方向へ威力を発揮して、なぜか周りの人を助けるのに役立ちます。
 それはまるで、照れ屋な彼の秘められた優しさを解き放つがごとくに……
 
 ここだけの話ですが、実は本人が気づいていないだけで、モテモテキャラなのですよ。
 ビン子をはじめ、綺羅星のように現れる他の登場人物達も、みんな強烈で魅力的なキャラばかりです。
 
 そんな彼らを取り巻く状況、聖人世界と魔人世界の均衡が崩れつつあり、彼らは否応なしに激しい戦の渦中に巻き込まれていきます。
 彼らの未来はどうなってしまうのでしょうか?

 作者様の軽妙な語り口は、鮮やかに人情を描いていきます。
 時に爆笑し、時にほろりとし、時に惨い現実に打ちのめされながら、読者はあっと言う間にこの世界の住人の気分になっていることでしょう。
 是非、ご一読ください。

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