さようなら、また会う日まで

 八月十三日、純真は祖父・功大とアメリカの小型客船でサイパンから日本に帰る。

 上木研究員を含めた数人の研究所の職員と、ウォーレンを含めた適合者全員が、彼を見送りにサイパン港まで付いて来た。

 船に乗り込む純真に、ソーヤが告げる。


「We should MEET AGAIN someday! I'll study Japanese, and send you a mail!」

「ああ! I will study English harder! See you again! AGAIN!」


 彼女に続いて、全員が「See you」と繰り返す。純真も「See you」と手を大きく振りながら応えた。

 客船が出発してからも、純真と適合者たちはお互いの姿が見えなくなるまで手を振り合う。最後には青く輝く大海原の水平線を見送って。

 地球には明日がある。純真と諫村と適合者たち、皆で守った明日が。

 さようなら、また会う日まで。



 NEOとの戦いは終わった。

 しかし、日本の前途には多大なる困難が待ち受けている。エルコンを失って国内産業は縮退せざるを得ず、NEOの暴走で世界中を大混乱に陥れた責任も免れ得ず、国際的な立場も苦しくなるだろう。

 そんな中で、日本に帰国した国立純真は普通の高校生に戻る事を望んだ。本人が希望すれば、英雄として国内外に大きな発信力を持てる様にもなれたのだが、国内での諫村忠志の扱いも定まっていない状況で、自分だけが英雄扱いされたくはなかった。

 この先、日本の国際的な地位がどうなるかは、これからの日本次第である。今は学生の身分に甘んじている純真も、将来は一人の日本人として行動する必要に迫られるかも知れない。何故なら彼も日本に生きる日本人である以上、日本と無関係ではいられないからだ。

 それでも純真は将来を悲観しない。地球の未来を救ったのは彼自身であり、戦いの中で彼は明日のために自ら選択して行動する事を学んだのだから。


 日はまた昇る。



               ――完――

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超兵器NEO @odan

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