第109話 VS魔王
更新が危ういです……。
一応プロットは出来ていますが、それを書く時間がどうなるか……。
◇◇◇◇
「……そろそろだな」
魔力でできている感知線を避けながら、僕はそんなことを呟く。
「……うん、一気に突入するよ」
「……おっけー」
バレてしまわないように静かに話しながら、屋上前の最高階の扉の前に一度止まり。軽く深呼吸すると声を揃えて──
「「……っ」」
ドン──ッ!!!
扉を壊す。
「……何者だ」
「……──え」
思わず、頓狂な声を漏らしてしまった。
扉を壊して現れた景色の第一印象は……真っ赤だった。
……血?
そんな単語が思い浮かぶような、そんな。例えばペンキの赤色というものとは似ているが別物で、グロいというか、暗い赤色をしている。
「……またハエか。まぁ暇つぶしくらいにはなるか」
そして、その部屋の中心で玉座的な大きな椅子に座っているものはニッと不気味な笑みを浮かべながらそう呟く。
魔王、だ。
誰かもわからない……けれど、それだけは分かる。少なくとも普通の人間ではない。この人は……いや、こいつは狂っている。
その瞬間……魔王は椅子から消えた。
かと思えば……
「……っ、逃げろ、祐希!」
「……っ、なっ!?」
それぞれ左と右に避ける。単なる予感だ。けれど、それは単なる予感だけでなく現実となる。
魔王が魔物と同じ技を使ったんだと、そう思う。気付けば逃げる前までいた場所が跡形もなく消えていた。
「……あれ、避けられた? おっかしいなぁ」
魔王は、舌なめずりをしながら気持ち悪い笑みを浮かべている。けれど、目は笑っていない。避けられたことに少しはプライドが傷つけられたのだと思う。
「とりあえず……『死ね』」
──スキル《呪言》発動を感知
変化耐性を自動的に発動します。
…………え?
「うぐっ……ぅ、おぇぇえ………がぁぅっっ」
苦しい、苦しい、苦しい、苦しい、苦しい。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい……
変な声が聞こえた瞬間、途端に吐き気が襲ってきた。かと思えば心臓をえぐり取られたかのような痛み。
死ぬ、そう悟ってしまうほどに苦しかった。
「うぐぅぅぅぇぇえあ……ぁぁああぁぁあ……」
《緊急事態なので再び勝手に使わせてもらいます。痛いので我慢してくださいね。火属性魔法…聖炎》
「痛い痛い痛い痛い痛い!! ………………でも、助かった。ありがとう」
聖炎……おそらくその魔法で、僕の身体の中にある呪いを起こしている原因を燃やして、なんとか呪いを解いたらしい。
とはいえ、炎は炎。痛いぃぃぃぃい……!!
「……は? なんで死なない……」
未だ残る腹痛に顔を歪めながら、声を発している魔王の方を向いてみると、気に食わない、そう感じているような顔をしていた。
「呪いが効かない……こんなこと、なかったはずなのに。それなら……直接」
そう呟いたかと思うと、魔王はアイテムボックス的なスキルを使い、きらきらと煌めく、けれど黒く禍々しい刀を取り出す。
危機感知がその剣に対し、かなりの警鐘を鳴らしていることからも恐ろしさは伝わってくる。
多分、呪いのような感じもあるということから、できるだけ触れるのは避けた……いのに近づけるな、魔王ぅぅ!?
「……ひっ」
咄嗟に身体を退けて、魔王の剣筋から避ける。
「こうなったら、僕も……っ」
アイテムボックスからナイフを取り出すと、再び振り下ろされる剣にぶつけるのだが……
あっ、剣溶けた。
「……次こそ死ね」
……やっちまった。
振り下ろされる剣に集中するあまり、自分の身体の安全を考えることがおろそかになってしまっていたようだ。
なんともきれいな横蹴りだった。
知っているだろうか? 足は手とは違い、常に体重を支えている。そのため、腕の何倍もの力を引き出せるのだとか。
それも、今攻撃しているのは魔王。
……──あっ、死んだ。
気付いた時には、窓のパリンっ、と割れる音と共に、空に身を投げ出されていた。
「……っ、ぐっ」
息が、出来ない。横蹴りの強さが尋常じゃなかった。
「「「「……いた、侵入者だ」」」」
勢いが良すぎたために窓の割れる音が大きくなったのだろう、僕に追い打ちをかけるように、魔族が僕の居場所を気付いてしまった。
数は200……その中でも僕より少し弱いくらいの魔族は100近くもいる。明らかに不利。
というかまず現在落下中。
……どうしろと?
引きこもりという不遇そうな職業を持つ少年は、いつの間にか世界最強になっていた〜ある日突然ダンジョン化してしまった世界で〜 一葉 @ichiyo1126
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