第108話 リベンジ

昨日は本当にすいません!!

もしかしたら、昨日みたいに空いてしまう日があるかもしれません……(勉強がぁ泣)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「じゃあ……いくよ?」


「……うん、いいよ」


 互いに声を掛け合い、そして扉の方へと顔を向ける。


「《解呪》」


「《鬼化》《体術》《空間操作…重力操作》」


 祐希が解呪を使い、扉にかけられた呪いが消えていくのを確認すると、保険の意味も込めてありったけのスキルを使い扉に向けて拳を振るう。


 ドンッ……っ!!


「……よしっ、開いた」


「喜んでいられないよ。もう来てる」


 祐希が後ろを指差している。なにかしらスキルを使っているのだろう、すでに魔族はこちらの方へ向かってきていた。


「……じゃっ、さっそく」


 扉を潜り、あったのは階段。階段を上がっていき、おそらく外につながっているであろう扉を見つける。


「《解呪》」


「《鬼化》《体術》《空間操作…重力操作》」


 この扉も呪いがかけられていることを祐希に伝えると、さきほどと同じ方法でまた扉を壊す。


 すると、見えたのはひらけた場所。おそらく次こそは外だろう。


「これで、外に出ら……れ……」


「…………この監獄、地下だったの」


「そのよう、だね」


 全然気付かなかった。


 でも、そういえばそうか。この監獄、あの結界の大きさからして、ぎりぎり入るかどうかという大きさだ。というのに、外から見た結界の中は、結界の大きな建物など見当たらなかった。


 この、かなり大きい監獄が、だ。


「……って、魔族来てる」


「……うわ、本当だ」


 僕は俊足スキルを、祐希は速度上昇というスキルを使い、建物の隙間をくぐりながら逃げる。


 その途中、家の中から見えるのは人の死体。ここに住んでいたところを、急に結界を張られて死んでしまった人たちだ。


「…………っ」


 死体が街の至るところにあるなんて事実、今では常識となりつつある現実が怖い。


《……あの、本当に申し訳ないのですが》


 何、ナビゲーター。


《さきほど君から出て空を飛び、この結界内に存在している魔族の量を調べてきたのですが……200は超えていました》


「…………え」


 200は、無しだろ。……でも、それがありになるのが理不尽な現実なんだよな……。


《……一応、100近くはあの監獄の看守よりは弱いようなのでどうにか対処できそうですが》


 対処できそう……それはいいことだと思うけど、逆を言えば残り100は対処が不可能に近いということ。


「……まずいな」


 後ろを見てみると、既に50近くの魔族。勝負しようなんて言えば即死ぬのは目に見えているから、逃げるしかない。


「ねぇ、祐希」


「何?」


 はぁはぁ、と息を上がらせながらそう返す。


 それに、祐希も少し息を切らしつつある、か。ほぼ無口なのも、喋ると息が切れてしまうのが早まってしまうのではと恐れてのことだろう。


 逃げずに戦うと死ぬとわかってはいるけど、逃げられるのも限界ってとこか。


 ……となると。賭けに出るしかない、か。


 ナビゲーター、魔王の位置とか把握できてる?


《……おそらく、であれば。魔族はほとんどがあなたに向かってきていますが、一部何かを守るように周りを気にしながら動かない人がいるのです。》


 ……なるほど。もしかして魔王はそこに……。魔族が守るものといえば、魔王くらい……かは分からないけど、少なくとも重要であることは間違いないし、行ってみるか。


「……ねぇ、こっち!」


 祐希にそう言い掛けると、家の屋根を登りナビゲーターの言う場所へと向かう。


 ……魔王、もとはといえば、多分人間なんだと思う。魔王だって一つの職業。それに、聖女様を襲った魔族からは人間らしさが窺えたから。


 ……そうであってほしくはなかったけど。


 魔王は人間。となると、魔物が人間を殺しているわけではなく……人間が人間を殺していることになる。


 屋根をとんとんと音を立てて走りながら、そんなことを考えて顔を少し歪ませた。


「……なぁ、一気に入るぞ。おそらく建物の中にもたくさんいると思うから、できるだけ避けて」


「了解。《隠蔽魔法…気配》」


「僕も……《気配遮断》」


 二人はそれぞれ気配を希薄にするスキルを使うと、魔王……か何かの、重要な物が守られているであろう建物の中に入る。


 とりあえず門番はクリア、だなぁ……ぁぁぁああああああああああっ!!!?


「……待って。気づかれてない?」


「……そのようだね。急がないと」


 そう、最初は通れたかと思われたのだが、大きな建物の二階へと上がろうとした瞬間、急に門番の魔族や周りにいた魔族がこちらに気付いたのだ。 


「まさか……《魔力感知》」


 うわぁ……なんかあるんだけど。こういう赤外線みたいな見えない感知線やめてくれないかな!?


 とにかく発動しっぱなしでできるだけ避けるようにしよう。


 魔族からすれば、まだ入りに来た侵入者がいることしかバレておらず、どこにいるか……いや、階段のに引っかかったからバレてるけどぉ? バレてはいるけどぉ?


 でも、動きまではおそらく気付かれていない。それならできるだけ気付かれないためにも避けるべきだ。


「……なんか張られてある。僕がおし……」


「あっ、大丈夫。確認してみたら本当に張られているみたいだ。魔族が誤って引っかからないためにか、大分少ないとはいえ、厄介だな……」


 あっ、祐希も持っていたんかい。

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