ビリー・ザ・ガイ

「信じてよ！ 全部、悪魔のせいなんだ！ ぼくは悪くない！ ぼくじゃないんだ！」

ビリー・ザ・ガイは片方しか無いものが大っ嫌い

だからシンデレラの片方しかない靴が嫌い

美しい灰被り姫の名前を聞くと吐き気が出るんだ

ビリー・ザ・ガイは一足が大っ嫌い

なぜって？

ビリーの右脚は義足だから

自分の脚を嘲笑ってる気分がするんだ

もう一つビリーには理由があるんだ

子供の頃に見た夢のせい

おおきく、まっくろな悪魔のせい

そいつは長い尻尾を垂らして浮いている

その姿は一本足の黒山羊さんのよう

「やぁ、ビリー」

悪魔はリトルに挨拶する

リトルは答えず夢覚める

リトルビリーは目覚めると右脚無くしていた

ファザーを呼ぶと喰っていた

ビリー・ザ・ガイは悪魔の姿になっちゃった

だからビリーは本当は怖がりさん

でも今では逆に怖がられちゃう

だって片方しかないとその人を斬っちゃうから

片目が眼帯のお兄さんに出会っちゃった

「お兄さん目をどうしたんだい？」

そう言って、もう片方を潰しちゃった

片腕の無い少女に出会っちゃった

「お嬢ちゃん腕どうしちゃったんだい？」

そう言って、もう片方も斬っちゃった

ビリーは元気な婆さんに遭っちゃった

婆さんは片っぽを持ってない

じゃあどうして？

「婆さんその杖どうしちゃったんだい？」

ビリーは婆さんの杖を見つけて蹴っちゃった

婆さん杖無くして倒れちゃった

頭に血が流れて死んじゃった

ビリー・ザ・ガイは悲しい人

悪魔のせいだと嘆いても

誰も彼の夢の悪魔を信じない

何故なら人の夢は見えないから

何故なら悪い事ばっかりしてきたから

ビリーは捕まって首を吊って殺された

ビリー・ザ・ガイは死んじゃった

首を吊られて死んじゃった

ロープが切れてビリーは落ちた

そうして左脚は折れちゃった

これでビリーは片っぽが無くなっちゃった