4
冷たい牢の中。アカツキの眼前には、震える女の子を守るように抱く母親。
「アカツキ、早くそいつらを殺せ」
「いやっ! そんなことっ」
アカツキの手には剣が握られている。アカツキよりも小さな女の子は、泣きながら母親にしがみついている。そんな親子を殺せと命じる主。その後ろには、外套を深く被り、顔は見えないが、背丈からしてアカツキと同じくらいの歳であろう者が控えている。
「お願いします。この子だけはっ」
母親が震える声で女の子を庇う。その行動に思い出してしまうのだろうか。剣を握る手が震える。
『お、お母さんっ』
『にっげて……』
──どうしてこんな事しなきゃいけないのっ
アカツキは剣を落とし、地に膝をつく。そんなアカツキに呆れ、主は、後ろに控えていた者へと目配りする。
その者は、鎖を揺らし、アカツキの元へと寄る。声は高く、女の子という事が分かる。その者は、アカツキの脳天に手をかざす。
「……
そう呟いた瞬間、アカツキの頭の中に流れ込む何か。それは、
「ヴァァッ!?」
──ねぇ、変わってよ。私と
激しい頭痛と共に、そんな声が聞こえた。次に開かれた瞳は燻んだ瞳。殺気立った空気を纏う。爛々と戦意に満ちている。
「真っ赤に染め上げてあげるっ」
「ひっお、お願いしまっ!?」
助けを乞う暇も与えず、再び握った剣で女の子を縦に裂く。血飛沫が母親にかかり、声なく亡き女の子の亡骸を抱える。
「え、あっあれ?」
「やっぱりこっちの方がいいっ絶望に染まった瞬間の顔がっ」
一瞬の事に母親も頭が追いついていないのだろう。亡骸となってしまった女の子を凝視し、悲嘆の声を上げる。
「……なに、これ」
自身の持つ剣と服は、赤く染まっていた。それだけではなく、床もそして母親に抱かれていた女の子も。アカツキの瞳は紫紺の瞳に戻っている。しかし、それは今までとは違う色。
「返してっ私の子を返して!」
泣きながら、憎悪を募らせた声でアカツキに訴える。
「ごめ……ごめんなさぃっ」
アカツキは、泣きながら許しを乞うが、それは許されない事。
──あぁ、私は何をしたって醜い
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