6

 ──死ぬのはすっごく怖い……一人は寂しいよっでも、私は君にならっ


「コロ……シテッ」


 心の声を呟くような小さな声。そんな声にヒカゲは、手に持つじょうひょうを握りしめる。

 辺りに飛び散る血。胸が焼けるように熱くなる感覚。痛みに意識が一瞬はっきりとした。しかし、身体は自由が利かず、ヒカゲの方へと倒れてしまう。


 ──もう君は私の光だよっ


 悲しそうな顔を浮かべるヒカゲ。そんな顔にさせてしまった自分が憎くて仕方がなかった。


 ──もっと、もっと私は君と……


 まだ、伝えたいこと、話したいことがたくさんあるはずなのに、視界は薄れていく。色を失っていく。ヒカゲの顔も見えなくなってしまう。


 ──あぁ、私は君がいないと、寂しくてたまらないんだっ


 そう気づくと答えは簡単に出てしまう。しかし、もうすでに進んでしまった時は止まってくれるはずもなく、ただ、進んでいく。

 身体が硬直して動かなくなりつつある。最後の力を振り絞ってヒカゲの頬を濡らす涙を拭い、彼の頬に手を添える。


「大好きっ」


 そんな言葉を最後に残すと、硬直しきった身体は自然と力なく落ちていく。最後に聞こえたのは、愛おしい彼の声涙。


 ──私なんかのために涙を流してくれるのは、君が優しい証拠だよっ


 そんな暖かな涙が少女の頬を濡らす。少年に抱えられた少女は、笑顔を浮かべたままである。


 ──暁の空、君と笑みを零した日々。そんな日々が、私の大切な宝物だよっ

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