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──最初は怖かった。でも、あなたの瞳を見ると安心できた
夜が明けきらない時間、白髪の少年は中庭で自身の鍛錬をしている。鍛錬をひと段落終えると、少年はベンチへと腰をかける。そのベンチへと向かう人影が一つ。
「ねぇ、昨日ね。お頭さんが剣を教えてくれたんだけど、失敗しちゃった」
他愛のない話を一方的にするアカツキ。ヒカゲは無表情のまま白み始めた、空を見上げていた。アカツキは常に笑顔を絶やさなかった。辛い事があっても、ヒカゲの前では常に笑顔だった。
「何故、笑う?」
アカツキの話を遮り、ヒカゲから始めて会話に入ってきたのだ。
「笑いかければ自然と笑顔が返ってくるからっ」
「え?」
それは今は亡きアカツキの母親がよく言っていた言葉。ヒカゲの周りにはいつも笑う人々がいた。主や貴族、豪族。その者たちとちがう笑顔がある事を知ったのだ。
──あなたの瞳はとても穏やかで優しい
「君は今どこにいるの?」
「何を……言って」
アカツキの言いたい事が掴めないヒカゲ。東の空か白み始め、暁の空の下に小さな影が二つ並ぶ。
「君は今、ここにはいない」
「だから……どういう」
「君の心は鎖に繋がれている」
「……」
「心までもが閉ざされる、この理不尽な世界。ねぇ、君は今、楽しい?」
「……楽しい?」
そんな事は考えなくてもとうに答えは出ていた。
「楽しくなんか……ないっ」
「目を覚まして、ヒカゲ! 私は君を助けてあげられる程、強くはないけど」
アカツキはヒカゲの心へと優しく語りかける。
「君の心を照らせる光になりたいなっ」
暁の光が薄っすらと二人を照らす。そして、この暁は全ての幸福を彼に
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