派遣会社で戦力外。異世界社で戦力内。

梅竹 松吉

その1 なぜか解雇された日

腰に痛み。

コンビニエンスストアーへ。

湿布薬。

欲しい。


『駆けろ。上がれ。きみが、だ』今売れてるヤツ。

いいデザイン。


タイトルを長いこと見る。

客が不気味がる。

そりゃそうだ。

見方に問題があったのか。

そんなに変な恰好してるのか。


ドラゴンクエスト攻略本ならいいのか。


わからない。


夜9時に速攻でドラクエをググった。


テレビを点ける。

ドリンクを飲もうとした。

そして、突然視界が暗くなる。

テレビの中へ吸い込まれはじめた。


声が聞こえる


「きみも」

「きみのものだ」

「きみにだけしか」


「いやいや」

と思いつつも、いい気持ちだった。


「誰もいない」

気配がない。

「これは夢だ」


異世界って。

いい所。


寒い、風が。


「ふざけんなよ」とは思わなかった。


生い茂る森。

いいじゃん。

荒々しい岩。

おーっつ。

すげーじゃん。


「誰かいる」


いるようだ。


大きな叫び。

身構える俺。

丘から見える、「ぎゃー」っとさけんでいた。


ゲームによくある、敵のモンスターが村を襲う光景。


どうしよう。

逃げるか、戦うのか。ってやつ。

「逃げていいんじゃない」

声がそう言っている。


戦うなんて。

泣きそう。

いや、泣いていた。


「当然よ」

いきなり背後からの声。


手入れされている高価な剣が腰に。

金髪の女性が話しかけてきた。


  「いつからそこに・・・」


女性「ずっと。」

    

  「・・」


女性「?」


  「いやべつに」


女性「名前は?」


  「・・」












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