セレウスきみのてに

断定しなされ

確実性がない

真実味の見当たらない

しっかりしてくれ

鉢巻きまいたおじさんが

物知り博士に問い詰めた

物知りおじさんは何も知らないわけではない

誰も彼も決めたがる

あやふやなのがいやなのだろね

立場をこさえて安心していたかった

揺らぐことのない陽炎が

気分の良いものだと信じておった

夏の人、虚数の倉庫に群がって

猛々しく破れても

竹藪は、小さな部屋を

守るのだい

守るのか戦うのかも

そこにあるのか、ないのかすら

分からぬ我々に何かを決めて

誇らしくする余裕などない

決めたとたんに不安になる

夏の選択は陽炎を揺らがし

消えてしまわんばかりに

それをものしりな博士は

知っている


それは軍歌か

愛の歌

勉強すれば分かること

分かることは分からぬことへと

橋をかけ、えんえんと

謎解きを繰り返す

解けば解くほど不安になる

選択の騎士団が

インフルエンザを召喚し

博士は寝込んでしまわれた

彼がやらぬなら誰がやる

鉢巻きまいたたこのような顔色のおじさんは

鉢巻き息巻き煙まく

博士は彼に伝え残した

ただ答えを覚えるだけではだめだ

そのあなたがせっかく覚えたらしいことは

誰かに潔癖を押し付ける

たわ言でしかないのだ

だから彼は逃げたのだ

スペインまで逃げたのだ

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