その5 隔離とその後

3月27日(金)

翌日からの集会(20人以上)が禁止になる。

とはいえ、もはやこの時点で集会をしようなどという動きはたぶん、どこでも見られなかったと思われる。

私の所属先も、まず日本人が週明けからの自宅勤務となった。


同日

日本政府が、ベトナムからの入国者に対する対策を強化、帰国者全員14日間の隔離が必要になる。押さえ込んでいるようなベトナムの状況を見ると、要らない気もするが、まあ、仕方ない。


同日

ハノイ、ホーチミンは市内バスの運行本数を減らす。

そもそも学校も職場も閉まりつつあって、乗客数自体わずかであったと思われる。

国内線の減便なども続いており、もはや隔離モード。


3月31日

ベトナム、4月1日から15日間の「社会隔離」の実施を宣言。

この時点で、感染確認数は204名。死者はゼロ。

隔離の内容は、

1)全ての国民は自宅待機

2)食料品、医薬品の調達や緊急の目的、それらを提供する産業従事者は出て良い。

3)人と接触するなら2メートル以上。公共の場所で3人以上で集まるんじゃない。

4)各管理者は、従業員の健康と安全確保に責任を持て(つまり、感染者を出したら責任を取らせるぞという脅迫)。

5)公共交通機関は停止する。

タクシーやGrab等の配車アプリも停止。

考えてみると「明日からタクシー動かすな、商売するな」という、無茶苦茶な政策であるが、その点、反対運動があったとかいう話は聞かれない。

一党独裁のベトナムだから、ということもあるし、前々から予告というか、そうなりそうだという話が広まっていたためだとも思われる。


私の住んでいた近所では、スーパーは営業。

飲食店はすべて閉店。

スタバアも、ハイランズコーヒーというベトナムコーヒー店も閉鎖。


4月1日

首相、全国規模での「流行宣言」。

……2月1日に出された流行宣言はどうなったんだろう。

まあいいや。


4月6日

ホーチミン市に、米配布ATMが設置される。

ボタンを押すと、1.5キロの米が無料でもらえる仕組みらしい。

この後、ハノイはもちろんベトナム各地に設置されて、一人で何度も貰おうとする奴が出るとか、行列が「密集」を生むといった小さな問題も出たようだけど、おおむねうまく扱われた模様。

日本、経済的困窮者に対し、金配る前にとりあえず余りまくってる備蓄米配ったら早えじゃん、なんて政策を口にしたら袋叩きになるか。。

ちなみに、ベトナムは米の輸出量世界第3位(インド、タイに次ぐ)。3月24日からの米の輸出制限もあって、ベトナム国内の食糧事情に問題なし。


4月7日

ハノイ市、不要不急の外出やマスクのポイ捨てをするやからに、罰金適用。

ホーチミン市などでも同じ。8日には、自宅前や公園でマスクなしで座ってた人が、実際に罰金取られたらしい。ホーチミンは暑いので、よりたいへんである。


4月11日

しれっと、ケンタッキーフライドチキンなど、一部レストランが再開。

もちろん持ち帰りのみだけど、どういう根拠で再開できたのか不明。

ハイランズコーヒーも再開。

スターバクスとか、大半のレストランは閉店のまま。

でも、ありがたかった。


4月13日

ベトナム政府、人々への経済的支援方針を決定。ベトジョーまとめによると、、。

1)革命功労者:50万ドン(2,500円くらい)×最大3ヶ月

2)貧困・貧困に近い世帯:25万ドン(1,250円くらい)×3ヶ月

3)解雇された労働者等:100万ドン(5,000円くらい)×3ヶ月

4)年間売上が1億ドン(50万円くらい)未満で、4月1日以降に営業停止した小規模自営業:100万ドン(5,000円くらい)×3ヶ月

5)一時帰休(1か月以上)労働者:180万ドン(9,500円くらい)×3か月

6)財政難の企業:給与の半分相当を無利子で融資


……ベトナム社会の規模というか、お金事情を考えさせられる数字です。

基準になる年間売り上げが50万円というのが、すごい驚き。税金など払ってないだろうけど、それで食べて行けてる世界。

ちなみに為替レートは、当地の日本人が脳内換算する額です。


同日

一度回復したイギリス人から、再度の陽性反応。

いろいろな国で再発例が聞こえていたため、驚きはありませんが、社会隔離延長の要因の一つになったのは間違いない。


4月15日

ハノイ、ホーチミンなどで社会隔離の一週間延長が決定。

ダナン市は緩和、店舗内での飲食は引き続き禁止


4月20日(月)

一部地方の学校再開。


4月21日

ハノイ市とホーチミン市、23日以降の社会隔離を緩和するよう提案。

この日、実は再陽性が1件出ているのだけど、新規の感染者は5日間連続で出ていないとして、「もういいだろう」とみなが認識するようになっている。


4月23日(木)

ハノイ市、ホーチミン市の社会隔離の一部緩和。

この日、一週間連続で国内の新規感染がゼロとなる。

でもタクシー、配車アプリは引き続き停止。

この頃からハノイは急激に暑くなり、もはや家に閉じこもっていることは不可能になる。


4月27日

交通違反もみ消しのかわりに、肉体関係を迫ったベトナム警察官が、妻により不倫現場を押さえられ、ネットに晒され、定職処分になる。

コロナと関係ないです。

でも、ベトナムらしさが分かるニュースだと思い、メモしておきます。

警察の汚職っぷりと、妻の強さですね。


4月29日

ベトナム航空が6月いっぱい、日本路線の運休を決める。これは日本の状況を見てのことだと思われる。

つまり帰れねえ!


4月30日、5月1日

ベトナムの祝日。土日とあわせて4連休。人々は浮かれ騒ぐ。


5月4日

高校再開。小中は、翌週から。

ちなみにハノイ日本人学校は、5月11日から中学部。18日から5-6年生。25日から残りという予定。さてさて、どうなるか。。


5月7日

カラオケやディスコなどを除いて、緩和解除。


5月8日

トヨタが、ベトナム・トヨタ社長の特例入国を要請。

すでにサムソン技術者の特例入国が認められているが、日本人社会としては、トヨタ様社長の入国につき、固唾を飲んで見守っているところである……。

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コロナ雑記 ベトナムにて @ayamarido

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