その4 隔離開始の3月後半
3月13日(金)
2月下旬に、ロンドンからビジネスクラスで帰国した通称「17番目」と、同じビジネスクラスに乗っていた15名の感染確認。
正直なところ、17番目のセレブを含めた感染者16名のうち、誰が本当の感染源か分からない気がするのだけれど、このビジネスクラスには、政府系のVIPも同乗しており(計画投資省の人らしい)、騒ぎになる。ただ、ベトナムにおいては、感染者の個人情報が相当程度露骨に出されるにも関わらず、バッシングが低いままに留まったのは、ここである意味、VIPたちがやばかったおかげかもしれない。
ちなみに、「17番目」の友達で、プライベートジェットで帰国した「32番目」は、4月1日に無事退院し、家族がコロナ対策のため、300億ドン(1億5千万円くらい)を寄付している。まじか。
そして同日、ハノイ市内の小中高が、3月いっぱいの休校延長を決定する。
とはいえ、日本人学校にしてみれば、どっちみち3月半ばから春休み期間に突入する予定だったので、もはや関係ない。
むしろ4月に赴任予定の新任教員が、渡航後14日間の隔離を強制されると見込まれるため、今度は新学期開始について、気を揉むことになる。
3月14日
ベトナム、外国人からコロナ治療費を徴収することにする。
金を持ってる駐在員は保険があるし、新たに入国する観光客はいないのだから、まあ、納得の対応。
3月16日
カラオケやディスコ、バー、ビアクラブ、マッサージ店、映画館、インターネットカフェ等の営業停止措置。3月末まで。
カラオケ好きのベトナム人には厳しい措置だが、仕方ない。ほかにも、公共の場でのマスク着用義務化が始まり、この頃から、近所の食堂が店を閉めたり、ちょっとした警備員が実家に帰ってみたりと、ちょっとずつ自粛ムードが広がっていた。
3月17日
韓国サムソン、技術者186名の特例入国を認めさせる。
14日間、国が指定する隔離施設での隔離を経ずに、工場内で隔離されつつ作業することに。この後も、サムソンは結構がんばって技術者を送り込んでいる。ぶっちゃけ賄賂の賜物だと思っている。
3月18日
ベトナム航空の客室乗務員が、給料を自主返納。ベトナムらしい気遣いだと思われる。もちろん同調圧力もあるはずだけど、「みんな困ってるから助け合おう」という意識は、根強い気がする。
このころ保健省等の連名メッセージで、「寄付金を!」というショートメッセージが届くようになる。一回2万ドン(100円)単位。
同日
JICA関係者のうち60歳以上、持病持ち、青年海外協力隊、同伴家族に退避要請。
会社関係者でも帰国させる例が出ている一方、日本行きの飛行機が次々とキャンセルになっており、子供の春休みに合わせて、のんきに帰国しようとしていた日本人を慌てさせる。
たとえばハノイ博多の直行便が途絶し、成田経由で帰ろうとしたところ成田で足止めを食い、ホテルで2週間隔離される等、てんやわんやとなる。
同日
感染者監視アプリHanoi Smart City 始動。
グーグルマップに、感染者、濃厚接触者、マスク販売店が表示される仕組み。
感染者情報としては、患者番号、現住所(感染者であれば、基本的には病院名。自宅隔離であれば、近くの公園名等)、行動履歴。
3月19日
国家大学の学生寮から学生が追い出される。
隔離施設にするため。1000人超の学生が「粛々と」出て行ったようである。
ちなみに大学はすでに休校中であり、学生は基本的には実家に戻ることになる。
ちなみに寮にあるのは、二段ベッドが3台、机、椅子、天井扇風機、シャワー。お湯の出るシャワー、クーラー付きの部屋もあるはず。隔離部屋としてどんな改造が施されたかは知らない。たぶん改造されていない。
3月20日
ベトナム、日本等からのビザ免除を停止。
また、すべての入国者に14日間の隔離を義務づけ。
ついに来た感じ。
この頃から、感染者の出たマンションまるごとの隔離といった政策が実施されるようになる。
ホーチミンでは、マンション2棟の住民765人全員とか、住民1,463人のマンション3棟中2棟が隔離措置になったらしい。こういう「隔離」となると、買い物にも出られなくなるため、スーパーでは、インスタント麺を箱買いする人が続出する(隔離されてしまった際は、友人や業者にデリバリーを依頼し、ドアの外に届けてもらう作戦を取るらしい)。
3月22日
ベトナム、全外国人の入国を停止。鎖国令を発動。
わたしゃ今もベトナムにいるのですが、要するにこれ以後、一度ベトナム国外に出たら再度の入国ができないという扱いになる。
3月24日
フック首相、今後2週間の不要不急の商業サービスの停止要請。
この後、月末からさらに一段厳しい社会的隔離実施となる。
同日
ベトナム政府、米の輸出量に制限をかける。
国内の食糧を確保するため。
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