キュルケとの出会い⑩
そして何年か経った。
あれからもやはり嫌がらせや初心者イビリは続いた。俺がEランクになってもフレーメルで最弱なのは変わらなかったのと、やはりテイマーという肩書きが問題だった。ルミさんはかばってくれても、フォローしきれるはずもない。それどころかルミさん以外の職員はテイマーの俺を邪険にしていたようにも思う。
それでも毎日、キュルケと一緒にコツコツ依頼をこなしてきた。
「キュルケちゃん、すっかりスライムっぽさがなくなりましたねえ」
「きゅー」
ルミさんに可愛がられて気持ちよさそうにするキュルケ。
キュルケはいつしか羽が生えてふわふわと空を飛ぶようになった。角も生え、羽毛に覆われた姿はもう、元のスライムからは想像もつかない状態だった。その分強くもなった。
「あ、そうだリントさん。今日はリントさんにお話があるんです」
「話……?」
そしてこの日。
「どっちもビッグニュースですよ!」
自分のことのように嬉しそうにルミさんが言ってくれる。
「なんと! Dランクに昇級です!」
「おおっ!?」
「おめでとうございますー! もう実力は十分と、ギルドマスターもお墨付きでしたよ」
「ギルドマスター!?」
ギルド中がざわつくのがわかった。
それもそうだろう。Eランクでしかなかった俺がギルドマスターの目に止まっているだなんて、誰も思っていなかっただろう。
「それで、これはギルドマスター、クエルからの手紙です。本当なら直接話がしたかったと言っていましたが、長期出張中ですからね」
「ギルドマスターが……」
更にざわめくギルド中の冒険者たち。俺自身、興奮が抑えきれなかった。
「これ、すぐに見ても?」
「ふふ。仕方ないですね」
ルミさんの返事も待ちきれず手紙を開封する。
そこには……Dランク昇級のお祝いと、王都へ行くことを勧める内容が記されていた。
そしてもう一つ驚いたのは……。
「これは……」
クエルもテイマーだったことが、それでいてAランクの冒険者にまで上り詰めたことがそこには記されていた。
◇
「こんな感じで出会って、王都に来た」
「なるほどねえ……リントくん、最初からテイマーの才能に溢れてたんだねえ」
「いやいや……今の話ちゃんと聞いてたか?」
なんでそうなった。
「聞いてたよっ! すごいじゃん! 初日からキュルケちゃんとしっかり協力して、あっという間に王都に来ちゃったんだから!」
「いや……えっと……」
褒められて悪い気はしないがなんか照れくさい。
そんな話を続けながら空の旅を続ける。
その後も細かい話を根掘り葉掘り聞かれながら、そのたびに過剰なまでに褒めてくれるビレナとじゃれていたら、あっという間に空の旅は終わりを迎えた。
脱法テイマーの成り上がり冒険譚 ~Sランク美少女冒険者が俺の獣魔になっテイマす~ すかいふぁーむ @skylight
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