あの人に伝えたい、たったひとことだけ。

泣ける話である。
北海道の配線になった駅を舞台にした作品をよく書かれている。
今回はファンタジーでなく、直球の現代ドラマだ。

奪われ、次に繋げる大切さを、くりかえし形を変えて描いている。


中ノ岱、碧水楓、交通部それぞれではクリアできない障害が用意されている。
クリアする度にサブキャラが退場し、個々が成長して、話が前に進んでいく作り。
でも実際は、物事が進むに連れて交通部の面々が去っていき、廃線が余儀なくされ、トドメとばかりに理不尽にも廃線日が早まる。
男性神話の中心軌道に沿ってつくっているけれども、試練を乗り越えられないから成長できない。
だから彼女に思いを伝えることもできず、無様に別れてしまうのだ。


後半、女性神話である、自分が自身の本来の姿を認めることで何かへと変わろうとする主人公を描くことで、新たな未来へと旅立つ話へと昇華させている。
この話の作り、流れが良くできている。

ラスト、彼女に思いが伝わるのは救いである。

今度は読者の番かもしれない。
次、誰かに思いを伝えるのはあなたの番だ、と。
ある日突然、理不尽にも機会を奪われるかもしれないから。