筆が走ることを拒絶するような、ひたすらソリッドな脱北物語

東アジアに暮らす人間として、同時代の問題として関心の強い北朝鮮。とても直球的に、北朝鮮から脱北をして韓国で暮らすことになった、とある少女の生い立ちを冷静な筆致で描き出します。
安易な脚色を嫌うかのように強固な事実(のように見えるもの)のみを積み上げていく物語の構成に、だからこそこれは、同時代の実際の問題なんだと強く訴えるものがあります。主人公が、東ヨーロッパの組織の一員にとどまりつづけたいと抵抗する様子は、歯がゆくもありだからこそ、とてもリアルに感じます。
物語の強さを別角度から再確認できる、強固な作品です。

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