列車は38度線を超えて
Mystérieux Boy
第1話 ソウル
ソウル市
一見ソンミンも、そんな若い女性の一人だった。赤く染めたロングの巻き髪を風になびかせ、色白の愛らしい顔立ちにくっきりとした色合いのメイク、淡いレモン色のワンピースを着た彼女はこの街の風景によく馴染む。
しかし彼女はガラス越しに見える、スイーツを食べて自撮りを楽しむ女性達の笑顔に疎外感を感じるのだった。最先端技術が盛り込まれたGalaxyのスマホで高画質な写真が撮れることにも十分驚嘆しているのだが、その上アプリでフィルター加工したり、インスタグラムに載せたりといった楽しみ方がよく分からない。
コスメショップには似たようで微妙に異なる美容グッズが大量に並び、音楽やドラマは毎回違うものが流れる。最新のスマホも家電も次々に登場するし、とても付いていけないほどの情報が溢れている。
暖かい家があって食べ物を美味しく食べられるだけで十分だと思っていたが、それが当たり前に満たされると、もう一段階上の楽しみを求めるようになるらしい。まだまだ理解が追いつかないが、こうして街を一人闊歩しながら観察する。
「
北緯38度線の南北朝鮮の国境周辺、通称、
しかしそんな観光客の中、ソンミンのようにたった一人でツアーに参加する若者は珍しく、バスの中で浮いていた。
DMZの訪問にはパスポートが必要なため、検問所で兵士がパスポートを確認しにやって来た。ソンミンは自分のパスポートを差し出した。
表紙には
朝鮮半島を横断する河川、
小高い丘の上に立つ展望台から北を臨めば、眼下一面に緑豊かな森が広がる。その奥に霞んで見えるのは、二度と戻れない故郷の地だった。
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