第14話
「今日は来るなよ」
俺は、ペットを躾けるかのようにきつく言い聞かせた。
「わかった。学校にお兄ちゃんいなかったし、昨日の夕方に飲んだから行かないよ」
リリスは兄がいなかったからか相当落ち込んでいる。
「でも、おおかみおんなは連れてこないでね。一緒にいるのも禁止」
リリスは浮気を疑う彼女のように俺に諭す。連れてこないでって言ったってここ俺の家なんだけど。
「おおかみおんなの臭いは嫌いなの。リリィあの臭いが付いた敦史の〇液接種するのは嫌だ」
リリスは、目に涙をいっぱい溜め、俺を睨みつけてきた。ヤバい、これまた泣くかも。
「わかった。わかったから、もう行くからな」
俺は、リリスが泣く前に家を出て行った。
外に出ると大神さんが玄関前に立っていた。
「先輩、おはようございます」
大神さんは、ニコッと笑う。
「ああ、おはよう」
俺はその笑顔につられ、反射的に挨拶をした。
「先輩、あの話どうなりました?」
「あの話って?」
俺はわざとはぐらかした。勘弁してくれ。
「そんな、先輩、忘れちゃったんですか?先輩の彼女になるって話ですよ?」
……今なんて?
「あれ、言ってなかったでしたっけ?昨日、先輩の家に住まわせてくださいってお願いしたじゃないですか。それってどう見てもカップルになるってことですよね?」
た、確かにそういうことだ。しかし、あれって告白か何かだったのか?彼女いない歴イコール年齢な俺が告白されるなんてありえない。
「それに、私、疼いてしかたなくて。もう先輩のじゃないと満足できないんですよ 。ねぇ?先輩の彼女になって、イチャラブセ○クスしましょう?」
大神さんは、上目遣いで俺に擦り寄ってくる。俺は、意識しないように彼女の目から逸らしていく。それでも、大神さんはご自慢のオオカミの獲物を逃さない目で追ってくる。肉食動物は怖い。
「せーんぱい♡」
俺は、一歩下がり反対方向に走っていった。
「待ってくださーい、先輩」
後ろからオオカミさんの声が追ってくる。俺は、先程よりもスピードを上げる。
「逃しませんよ。ひゃ、もうダメ」
しめた。俺は適当に角を曲がる。それにしても、俺、そんなに走ってないぞ。せいぜい1キロぐらいだ。
「せんぱーい。私、もう……」
な、何があったんだ?しかし、こ、これは罠だ。俺を誘惑しているだけ。大神さんを置いていくのは気が引けるが、今は一大事。
俺は、とりあえず学校へ向かった。
俺とサキュバス(仮) 宇田川ルキ @RUKI3939
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